フランスの日本語学習者を対象として、予備調査となる質問紙調査と、インタビュー調査を行っている。質問紙調査では、多様なレベルの日本語運用能力を持つ日本語学習者に対して、発話キャラクタについてどの程度理解しているか、自らの発話キャラクタを意識しているか等について調査した。結果は現在統計的に分析中である。 インタビュー調査では、アニメからのみ日本語会話を習得したフランス人学習者を対象に、半構造化インタビューによる詳細な聴き取りを行った。インタビューデータは逐語記録化し、SCAT(Steps for Coding and Theorization)という質的分析手法を用いて、分析を続けている。分析の結果、両親不在の家庭環境、移民家庭における複雑な言語環境、臨界期前のアニメ視聴開始年齢、その継続的な長時間視聴、自己肯定を目指したキャラクタの継続的探索といった発話キャラクタ獲得の要因が明らかになっている。また、キャラクタの獲得には、到達可能性の確保ができる目標型発話キャラクタモデルが存在する一方、反面教師型発話キャラクタモデル、否定的発話キャラクタモデルがあることも明らかになった。キャラクタは主観に基づきステレオタイプ化されており、場面に応じて発動するキャラ、キャラ変え行動、キャラ発動、キャラの生産性が認識されている。 関連研究として、発話キャラクタに関わる日本語のフランス語翻訳について、フランスで日本語を学ぶ学習者を対象に行った質問紙調査の結果を分析し、ヨーロッパ日本語教育研究会で発表した。
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