本研究の目的①「GTの各主体の役割や目的、主体間の相互作用の異文化間コミュニケーションの視点からの解明」について、日本語支援者に関しては、外国人参加者(以下参加者)の日本語学習への意欲を向上・維持するために、受け入れ機関の日本語支援者が送り出し機関(の支援者)と連携する必要性があること、また、「語学サポーター」と呼ばれる通訳者に関しては、参加者の日本語使用や異文化理解を促進するなど通訳以外の役割も担うこと、その一方、参加者との年齢による上下関係がそれらの役割の阻害要因となり得ることが明らかとなった。 ②「GTでのコミュニケーションの実態調査」の結果、農業体験前後の家屋内や夕食時に受入れ家庭(以下受入れ側)と参加者とのインターアクションが多く見られること、抽象的なものを含む様々な話題が受入れ側から出されていたこと、参加者は受入れ側からの質問に答えられても同様の質問を問い返すことは少なく、会話が展開しないこと、手伝いを参加者が申し出る、受入れ側が指示・感謝するなど特有のコミュニケーションを行うこと、などがわかった。 ③「参加者・受入れ側双方が満足し、異文化理解が促される日本語支援の方法についての考察」の結果、参加者には、a.自国の基本情報を確認すると同時に日本ではどうなのかという相対化の視点を事前に持たせること、b.コミュニケーションを継続・展開する態度を養う指導を行うこと、受入れ側には、c.日本の社会文化知識は理解されない可能性があること、平易に話す、繰り返す、身振りも付けることの重要性を伝えることが必要だとわかった。a、bは2018年度に④「教材や授業カリキュラムの開発」として実施され、cは今後、教材化の予定である。 2018年度は、日本語でのコミュニケーション自体に観光資源としての価値があること、その視点を様々な主体と共有する必要があることを主張する論文を発表した。
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