本研究は、国内学生、留学生を問わず、将来のグローバル社会の担い手となる若者の、「多文化間ディスカッション」を円滑且つ効果的に行うための条件を抽出し、彼らの到達目標の一つを提案するものである。 本研究最終年度の平成30年度には、研究の総括を目標としながら、その過程において、以下二点の作業を行った。一つには、前年度の研究結果のブラッシュアップである。ここでは、(1) グループのメンバーとしての個人の役割の認識、(2) 発話の「量」(時間)、(3) ソーシャル・サポートの使用、特に「笑い」「量」(時間)の観点から、研究代表者、研究分担者両者の勤務校である金沢大学の、「TOBITATE! 留学JAPAN日本代表プログラム」第6期奨学生選考で第一次審査(書類審査)に合格した学生の、第二次審査(面接、プレゼンテーション、グループ・ディスカッション審査)に向けて指導を行った際のデータを再分析した。もう一つには、研究分担者が名城大学で開催されたセミナー(OJAE セミナー2019「OJAEで測る日本語コミュニケーション能力」2019年3月3日、OJAE=Oral Japanese Assessment Europe)に参加し、本研究成果をもとに研究会出席者と意見を交わした。この研究会は、ヨーロッパにおける日本語教育の充実および発展のために、評価法を検討するために開催されたものであるが、コミュニケーション能力の展開という点において、本研究と方向性を共にしている。そのセミナーにおいては、本研究で実践した国内学生同士のコミュニケーション能力の評価と日本語学習のためのコミュニケーション能力の共通性についても確認できた。
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