研究課題/領域番号 |
15K12907
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 理恵子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (90624289)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 複雑性理論 / 言語運用能力 / 学習者動機 / 公立中学校 / 縦断調査 / 情意要因 |
研究実績の概要 |
本研究では、小学校5年生~中学校3年生までの言語能力テスト(英語検定協会ブロンズテスト・英語検定協会プレイスメントテスト)と質問紙(動機付け・言語文化への関心・コミュニケーションへの積極性・CanDo・L2可能自己)の実施を行う予定である。これまでに毎年7月・2月に測定を行い、中学2年生段階までのデータ収集を行った。現在では、中学校3年生段階での言語能力テストと質問紙を調査中である。現段階では、一部の中間報告に関しては、国際学会・国内学会で結果を公開済みであり、国内学術誌ににもデータの一部を公開している。
これまでの結果としては、言語能力については時間の経過に伴って上昇する傾向にあることと、動機付け・言語文化への関心・コミュニケーションへの積極性・CanDo・L2可能自己については、維持する傾向にある要因もあれば、低下する傾向にある要因もあることが明らかになっている。更に、個人差の傾向としては、クラスター分析を用いて分析を実施した結果として、学習者が上位群・中位群・下位群に分類され、言語能力が高い学習者群は、動機付けや情意要因が高い傾向にあり、言語能力が低い学習者群は、動機付けや情意要因が低い傾向を示すという結果が明らかになっている。
本研究では中学3年生までの追跡調査を行う。本年度は、中学校3年生段階で(7月・2月)に最終的な言語能力テストと質問紙調査を実施し、統計処理を行う。質的データについては、中学校3年生段階で、半構造化面接・回顧面接を教師・生徒達に対して実施し、Motigraph(縦断的に見る学習者の動機付けの変化)を実施して、質的分析手法を用いながら、個人内の変化の傾向や発達的傾向を微視的に捉えていく。線形モデルである量的研究と非線形モデルである質的研究を融合していくことで、経年データにおける学習者の言語面・情意面に関する多面性と可変性を捉えていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査においては、調査対象者が現時点で中学校3年生であり、小学校5年生~中学校2年生にかけての質問紙・言語能力テストを既に収集済みである。調査の一部については、既に国際学会・国内学会で発表を実施しており、学術誌にも掲載済みである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は調査対象者が中学校3年生であり、調査実施の最終学年である。言語能力と質問紙調査を7月と2月に実施し、データ収集を終了する予定である。本研究は、量的調査と質的調査の両側面から折衷方法を用いて現象を多角的に捉えていく。量的研究については、統計処理を用いて、記述統計・分散分析・クラスター分析方法を用いて統計処理を行っていく。質的研究については、個人の変化や発達を微視的に捉える為に、半構造化面接を用いて、社会文化的構造(社会・文化・学校やクラスルーム)に関して、社会や他者との関わりを精緻に分析していく。動機付けや情意面における変化の傾向とプロセスを全体のシステムとして描写し、構造の変化や変化の過程を解明していく予定である。
データ分析を継続して実施し「研究のコミュニティ」へのデータ公開準備と成果報告の準備を行っていく。主に、研究報告と実践報告の実施を行う予定であり、研究分野への提言と実践現場への提言を実施していく。理論実証的研究では検証結果を国内外学会で発表し、現場への提言としては、実践報告として全国大会レベルでの、実際の現場で教鞭をとる実践家が多く集まる学会で実践報告を行っていく予定である。小学校・中学校の現場教員を対象に、言語データ・学習者動機・情意についてのデータを開示し、教授法・指導法・カリキュラム公正について広く提言していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度には、国際学会発表を前年度よりも多く計画しているために、使用額を次年度に移行した。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会発表(ヨーロッパ・アメリカ)、国内学会発表(東京・名古屋)で使用予定である。
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