研究実績の概要 |
本研究の目的は, 小学校5年生から中学校3年生にかけての5年間における生徒の言語運用能力, 内発的動機づけ, 自律性, 有能性, 関係性, コミュニケーションへの積極性, 理想自己, Can-Do, 外国への関心についての変化の傾向を探り, 5年間の変化の様子を, 全体傾向と個人の傾向から明らかにすることである。調査対象者は公立小学校から公立中学校へと通う22名であった。調査実施時期は, 2012年4月~2017年3月にかけての5年間で, 合計10回の質問紙調査と言語運用能力テストを行った。半年毎(7月と2月)に調査を実施している。言語運用能力テストには, 5年生~6年生段階では英検ジュニアの一部を使用し, 中学校1年生段階では英検5級の一部を使用してリスニング力を測定し, 中学校2年生~3年生段階では英検プレイスメントとテストEを使用して測定している。結果として, 各学年の7月と2月を比較すると言語運用能力は上昇する傾向にあることが明らかになった。5年間を通した動機づけや情意面の変化については, Can-Do, コミュニケーションへの積極性が中学校3年生にかけて上昇する傾向にあることを明らかにした。個人差の傾向については, 言語運用能力, 動機づけ, 情意の上位群と下位群に分かれることが明らかになった。上位群においては、言語運用能力が高く、動機づけや情意要因が高いことが示され、下位群においては、言語運用能力が低く、動機づけや情意要因も低いことが明らかになった。今年度はさらにMotigraph (回顧的調査方法)を用いて、個人内の変化に関する分析を行った。分析結果として、上位群と下位群では、異なる変化の傾向をあることが示された。
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