研究実績の概要 |
本社会は企業の海外展開や経済の相互依存化が進み、国際化・グローバル化の潮流の渦中にある。その煽りを受け、国内の高等教育機関ではここ10数年の間に「グローバル人材育成」を趣旨とする教育カリキュラムやプログラムが多く設置され、後発の新設プログラムも後を絶たない。しかし、教育の現場では「英語の運用能力」が見込み通りに高まらないという現状の報告が多々散見される(重森201;勅使河原2012他)。国内の外国語教育の環境下では、外国語(英語)を用いて物事を交渉し、異文化間での疎通を図るといった参加型経験学習の効果を引き出そうとしても極めて限定的である。このような問題を解決する一つの手段として、高等教育機関(大学)の授業内(正課)の取り組みとしてSkype, GoogleHangout, Adobe Connect, といったWeb会議ツールを活用し、海外協定大学の学生(授業)と連携し交流活動を行う「オンライン遠隔交流学習活動(COIL: Collaborative Online International Learning)」が着目されている。 大学の国際化施策として日本人学生の海外研修が必修化されつつある中、本研究では海外の大学と連携し、Skype などのオンライン会議ツールやFacebook やLINE などのSNS(以下ICT ツール)を通して海外大学と日本の大学の授業科目受講者が共修する新しい教育カリキュラム(Collaborative Online International Learning)の提案と検証を行う。本研究の調査では、本教育活動における様々なICT ツールの効果を評価すると同時に受講者の①異文化間における相互行為能力の発達、②外国語(英 語)の言語学的運用能力の発達、③異文化に対する意識変化を縦断的に測定し、本カリキュラムの今後の活用の展開を具体的に考察する。
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