研究課題
グローバル化の渦中にある日本の英語教育の質的向上を目指す上で喫緊の課題は,言語産出におけるモデルと学習者の乖離を客観的に把握し,両者間の距離の最小化を図ることである。この意味において母語話者校閲は有効な手段となる。筆者は日本人を含む各国学習者の英作文・英語発話を収集し,世界最大のアジア圏学習者コーパスICNALEを構築したが,予算的制約から,校閲データは包含できていなかった。本プロジェクトは,この欠落を埋めることを目的として開始された。3年間のプロジェクトでは,英語を母語とする専門校閲家を組織し,アジアの10か国・地域の320人の学習者による640本の作文に対して,1)ESL Composition Profile (Jacobs et al. 1981)に基づく5観点評点(内容・構成・語彙・言語使用・表記)と,2)その完全な校閲バージョンが用意された。プロジェクトで収集したデータは,ICNALE Edited Essaysと称する新たなモジュールにまとめられ,2018年3月までにダウンロード版およびオンライン検索版として全面公開された。また,この間,収集したデータを用いて10本以上の関連研究が発表・公刊された。それらの研究では,(1)各国学習者ごとの作文の観点評価の比較,(2)観点評価と校閲量(校閲者による追加や削除の回数)の関係のモデル化,(3)評価者の判断の安定性検証などのテーマが扱われた。今回のプロジェクトで公開されたデータ従前において内外にほとんど類例のないもので,学習者研究の新たな基盤資料となるものである。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 6件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
チャートネットワーク(数研出版)
巻: 82 ページ: 4-4
今尾康裕他(編)『英語教育徹底リフレッシュ:グローバル化と21世紀型の教育』 開拓社
巻: na ページ: 14-25
東京外国語大学国際ワークショップ予稿集「外国語教育の変革:国際連携・高大連携・ICT」2017
巻: na ページ: 31-39
国立国語研究所言語資源活用ワークショップ2017発表論文集
巻: 2 ページ: 153-162
doi.org/10.15084/00001516
第2言語としての日本語の習得研究(第二言語習得研究会/凡人社)
巻: 20 ページ: 10-27
Advances in Social Science, Education and Humanities Research (Atlantis Press)
巻: 145 ページ: 70-75
doi:10.2991/iconelt-17.2018.17
http://language.sakura.ne.jp/icnale/
http://iskwshin.blogspot.jp/2017/05/201751-31.html