本研究では、ドイツ語教育におけるランデスクンデ(Landeskunde: 地誌・文化)の取り入れ方を再検討するために、ドイツ語学習に有用な現在の資料を収集し、整理し、日本のドイツ語教員・学習者にとってより有益な情報を整理して示すことを目的としている。この目的のために、日本で出版されているドイツ語の教科書に挙げられている文化項目の収集、抽出作業から得られた項目(自然・気候、食事、家族、産業、言語、教育、EU、交通、世界遺産、環境、歴史、文学、映画、都市、芸術、宗教・行事、映画、社会(労働・休暇・移民など)、政治・経済、スポーツ)に資料を分類した。今年度は、日本でのドイツ語学習者にとって魅力的なドイツ文化項目は何かを調査するとともに、ドイツでの研究協力者によるドイツ文化に関する文章や、ドイツ人日本語学習者による作文データの収集も行った。これらのデータを分析した結果、日本からは産業や行事(クリスマス等)、芸術等に関して多くの関心が行く一方、ドイツからは都市や日常生活を知ってほしいとする、ドイツでのドイツ文化と日本から見るドイツ文化との違いが浮き上がった。また、昨年度出版したランデスクンデを生かしたドイツ語教材、『4ステップドイツ語』のための映像資料の収集もベルリンにて行った。日本語でアクセスするドイツ語圏文化の総合サイトも構築中である。平成27年8月には、スイス・フリブールでの国際ドイツ語教育会議にて、本研究課題の重要なテーマである、ドイツ語教育と、ドイツ語圏における日本語教育とのネットワークの重要性に関する発表を行った。平成28年3月には、ハンブルク大学においてJaF-DaF Forumを開催し、ドイツ語圏の日本語教育者と日本のドイツ語教育者との共同研究・情報交換の場を設け、日本・ドイツ語圏の教育者間で活発な意見・情報交換を行うことができた。
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