研究最終年度となる本年度は、初年度の研究成果の発表に重点を置いた。研究代表者の山下は、8月にインドネシアのマタラム大学を会場に行われたTESOL Indonesia International Conference、異文化間情報ネクサス学会で本研究の成果に関する発表を行った。両方の発表ともに動機づけに焦点を絞り、バーチャルインターンシップを通じて看護英語の授業を受けた日本人学生の英語学習動機づけにおける変化を探った。 特にメタ認知能力に関してScrawにより1998年に開発された50問からなるアンケート(6 point likert scale)を使用して、授業前後の変化を比較した。プロマックス回転を用いて因子抽出を実施たところ、モニタリング力とプラニング力において有意な発達が見られ、自律的な学習姿勢の向上がうかがえた。次に、L2理想自己とL2義務自己の発達をDornyuei & Taguchiにより開発されたアンケートを使用して調査した。その結果L2義務自己が10ポイント以上上昇し、発達はみられたものの、L2理想自己は1.2ポイントの上昇にとどまり、大きな発達は見られなかった。12月の異文化間情報ネクサス学会では、前期試験の結果をもとに被験者を成績上位者、中位者、下位者に分けて分析を試みたが、期待に反して前回と大きく異なる結果とはならなかった。むしろ上位者の中にL2義務自己が大きく進化したものが多くみられた。 今後はPCからのアクセスだけでなく、スマートフォンからのアクセスも可能とし、さらに看護英語のみならず、汎用英語学習にも対応したマルチモーダルシステムの構築に取り組んでゆきたいと考えている。
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