研究課題/領域番号 |
15K12929
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研究機関 | 沖縄工業高等専門学校 |
研究代表者 |
飯島 淑江 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (60712502)
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研究分担者 |
池田 真 上智大学, 文学部, 教授 (10317498)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 内容言語統合型学習(CLIL) / 教科横断型カリキュラム / 複言語教育 / 工学教育 / ESP |
研究実績の概要 |
H27年度の研究結果に基づき、専門科目内容(工学)のCLIL授業を英語科目で実施した。研究の進行上、H29年度に実施を予定している専門科目におけるCLIL授業も、実験的な形式で実施した。言語教師、専門科目教師、CLIL実践者、CLIL研究者から構成されるプロジェクトメンバーと協働し、授業計画、実施、結果分析を行ったが、この協働自体がCLILを実践するだけにとどまらず、実践的な視野から理論を深化させることとなり、意味のあるものとなった。
授業実施にあたっては、工学教育、専門教育に合ったCLIL授業を模索するため、1.内容と言語の適切な割合、2.母語と第二言語の適切な割合、3.内容や学習者に適切なタスク、4.習得が促される言語項目、5.学習情意への影響を検討・調査するようなかたちで行った。授業の分析は、授業観察、受講生及び授業者への質問紙・聞き取りによる調査、受講生に対する習得度測定テスト等によって行った。その結果、授業の効果としては、1.語彙、特に専門用語の習得、2.内容への興味と理解の促進、3.言語習得意欲の向上が見出された。また授業方法としては、英語あるいは専門科目が単独でCLIL授業を行うよりは、科目横断的なかたちで両者が役割分担して授業を行った方が、両者の不足・限界部分が補完され、学習者・授業者にとって適切なCLIL授業を実施でき、上記の効果も最大限に引き出せることが分かった。
以上の研究結果を、H27年度に行った研究結果とあわせて、国内外の学会で発表し、論文にまとめた。その結果、多くの有益なフィードバックを得、今後の研究課題を明確にすることができた。それらを踏まえて、CLILを専門教育機関で実施するためのシステム構築を開始した。具体的には、シラバスや教材からなるデータベースづくり、またそれを活用するためのマニュアルの作成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」にも記したように、現在はCLILを専門教育機関で実施するためのシステム構築を進めている。シラバス、教材などから構成されるデータベースづくりに加えて、それを運用するシステム全体の様式の検討を行っている。また、H28年度に実験的に行った専門科目授業におけるCLIL授業を実施している。授業実施にあたり、これまでの研究から得た研究課題を踏まえ、1.母語・第二言語のそれぞれが内容理解に与える影響の違い、2.語彙の種別習得について(特に機能語の習得性)、3.学習者・教師の認識変化、4.授業談話分析、5.スキルベースの専門英語授業との言語習得性比較、の観点の調査を念頭に実施を進めている。
更に、既にCLIL導入とその研究が盛んな欧州(特にスペイン)、日本に言語教育環境が類似したアジア諸国(特に香港、台湾)のCLIL実施事例を文献や当該国の研究者とやり取りすることで調査している。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、H29年度は、1. 専門授業におけるCLIL授業の実施とその研究 2. CLIL授業実施のためのシステム構築、を継続して行っていく予定である。文献研究、授業視察、言語・専門科目教師、CLIL実践者・研究者との研究と協働を通して、それらを遂行し、その成果は学会や論文で公表する。それと平行して、高等専門教育機関、特に工学系教育機関へのCLIL理論と実践の紹介、CLIL教師の育成を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正用に確保していた人件費が未執行となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該項目に使用する。
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