研究課題/領域番号 |
15K12931
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
俵 寛司 長崎国際大学, 人間社会学部, 准教授 (80463925)
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研究分担者 |
山形 眞理子 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任教授 (90409582)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 対馬・壱岐 / 済州島 / 沖縄 / 南九州 / 南島 / 東南アジア / 島嶼性 |
研究実績の概要 |
平成28年度、12月26日~29日、韓国済州島での現地調査を実施した。韓国国立済州大学を拠点とし、済州大学博物館及び在日済州人センター、済州特別自治道民俗自然史博物館、済州海女博物館、済州4・3平和記念館、国立済州博物館等での資料調査及び現地踏査を行った。 また、6月から9月にかけて対馬市及び壱岐市での補足的な調査を実施した。 3月6日~3月7日、沖縄本島での現地調査を実施した。那覇市の沖縄県立博物館・美術館、壺屋焼資料館での遺物観察と、首里城・今帰仁城跡・斎場御嶽等の遺跡踏査に加え、沖縄県平和記念資料館・ひめゆり平和記念資料館等の戦争関連施設等の現地視察も行った。3月23日~29日には、「本土」側である南九州(熊本・鹿児島・宮崎各県)の調査を実施した。沿岸部の遺跡の立地、また、各地の博物館等で遺物を観察することで、「南島」の歴史的背景について基礎的な把握ができた。 平成28年度より、山形眞理子(金沢大学国際文化資源学研究センター教授)が分担研究者として研究に加わり、東南アジア島嶼部のケーススタディを実施している。 本研究に関連し、2016年8月28日~9月2日、京都市で開催された第8回世界考古会議京都大会(WAC-8 京都)で口頭発表を行った。国内では同年9月2日~9月5日、広島県大崎上島で開催された日本島嶼学会に出席し、あわせて瀬戸内海の島々について現地踏での資料調査を実施した。なお本研究の一部について、7月18日・19日、奈良県香芝市二上山博物館で開催されたシンポジウム『邪馬台国時代の狗邪韓国と対馬・壱岐』において「邪馬台国時代の対馬」と題する講演も関連している。 以上の実地調査・学会発表等に加え、本研究課題に関連するデータ・資料の集成と関連情報の収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の進捗状況として、昨年度に続くステージ1:日本海周辺の島々についての調査・研究に加えて、ステージ2:太平洋周辺の島々、ステージ3:東南アジア海域の島々についての調査・研究を開始している。「ステージ1」については、前年度中止となった韓国鬱陵島での調査を変更したものの、韓国済州島での新たな調査を実施し、その結果、対馬海峡を隔てた「移動」や「翻訳」、トランスナショナルな「ネットワーク」等の実態についてより詳しい情報を得ることに成功している。また、「ステージ2」についても、沖縄と南九州との関係に着目し、双方での現地調査を実施することで、先史時代から現代までの歴史的「まなざし」を見出すことが可能となった。さらに、平成28年度より分担研究者として山形眞理子氏が加わり、ベトナムを中心にタイ・マレーシア・フィリピンをつなぐ実証的な研究へと発展している。さらに、これら進行中の研究成果については世界考古学会議京都大会(WAC-8京都)をはじめ、国内外の論文・雑誌などで公表されている。以上のように、研究の目的はおおむね順調に達成されつつあると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、可能な限りケーススタディを推進しながら、これまでの調査・研究の成果をまとめることを目標とする。すなわち、ステージ1:対馬・壱岐・済州島、隠岐・山陰地方、ステージ2:沖縄・南九州地方、ステージ3:ベトナム・トーチュー島等についてである。加えて今年度、小笠原諸島での実地調査を計画している。韓国鬱陵島での調査や対馬市での近世陶磁器窯跡の調査等については次年度以降の研究計画に継続発展する可能性がある。いずれも現地協力者との密接な連携をもって調査に取り組みたい。ステージ3については、引き続き山形眞理子氏に分担研究を依頼する。本研究の成果について国内外の学会・論文等で発表する予定である。
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