研究課題/領域番号 |
15K12939
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70234672)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シャム / イギリス / 外交 |
研究実績の概要 |
アーネスト・サトウは1884年から1887年まで英国領事・弁理公使としてシャムに駐在した。本研究は、シャム駐在期におけるアーネスト・サトウの諸活動を、サトウの日記、書簡などの個人文書、および英・タイの公文書史料に基づき丁寧に追い、サトウが果たした役割を、シャム・英、シャム・日本、シャム・清朝関係の文脈において多角的、多層的に明らかにし、サトウのシャム認識と、シャム、日本、清を跨ぐアジア像の構築に迫ることを目的とする。初年度は以下の資料調査・収集を実施した。 (1)サトウおよびサトウがシャムに滞在した時期を中心に1880年代のシャムをめぐる国際情勢に関する先行研究を収集し、最新の研究状況を確認した。 (2)イギリス国立公文書館を中心に、サトウがシャム滞在中に諸方面と交換した書簡や公文書史料を閲覧した。1880年代中葉は、第二チェンマイ条約締結、清仏戦争、仏領インドシナの成立、イギリスによる上ビルマ併合と、シャムをめぐる国際情勢は大きく動いてした。その中でサトウはイギリス外務省、シャム外交筋のみならず、シンガポール海峡植民地やインド政府などともさまざまな問題に関して協議し、また日記等に記録している。本年度はその中で、主としてイギリス外務省および海峡植民地と交換した外交文書および書簡を調査収集した。 (3)タイ国立公文書館において、1880年代のシャムとイギリスとの外交関係に関する史料を閲覧・収集した。またサトウが赴任する直前のシャムをめぐる外交関係に関わる論考を英文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、タイおよびイギリスにおいて、シャムに滞在中におけるサトウの諸活動に関連する公文書資料、およびサトウの個人文書を閲覧・収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、タイおよびイギリスにおいて、サトウの諸活動に関する公文書資料、およびサトウの個人文書を調査・収集する。昨年度の資料調査において、シャム駐在を終えた後、1900年代に北京駐在中、シャムに関わる見解を述べていたことを示す史料が存在することが判明しており、より広い時間・空間軸に位置づけよう心掛ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務先の連絡事務所駐在の必要性により、3カ月バンコクに駐在したため、旅費の使用が予定より少なくなった。資料調査の遂行には支障はなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
タイ、イギリスにおける資料調査をより充実させるため、主として旅費に使用する予定である。
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