近世近代の大坂の産業マップを作成した。近世において市街地に生産の場がとどまる産業と、外縁部へ移動するものとがあった。鋳物や窯業、ベンガラ生産は18世紀以降、市街地の外縁部に移動した産業である。一方、金属関連の産業の中でも銅の精錬と鍛冶については市中にとどまった。輸出用の銅精錬は日本を代表する大坂の産業であり、火を使い煙の出る産業であるが、原料運搬や製品積み出しに有利な運河沿いにとどまった。鍛冶は需要の多い場所でなされ、刀鍛冶は大坂城西側、碇や船釘は沿岸部で生産された。また明治30年代以降、重厚長大型産業が沿岸部に展開し、それらに必要な石炭・コークスの工場もその近辺に多く立地することを示した。
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