日本では、総人口が2008年にピークに達し、その後減少が続いている。しかし、地方圏の道県では1980年代から人口減が始まっており、一極集中の進む東京圏との格差が拡大している。その結果、今日では地方圏の衰退が大きな問題となっている。人口減少というこの問題に対し、これまで、外国人の受け入れを含む様々な議論がみられる。しかし、こうした議論は、政策的な干渉がない限り、国内に在住する外国人が、日本人以上に東京に一極集中する可能性が大きくなるという問題に気づいていない。 本計画では、現代日本における人口減少という問題の処方箋として、日本に流入する外国人を地方圏に政策的に誘導する可能性を検討するものである。まず、日本と同様、人口や経済の停滞や衰退に直面した地方の再生策として、1990年代後半に導入され、一定の成功を収めてきたカナダの州指名計画やオーストラリアの州特定地域移動計画をモデルとして、類似した政策の日本への導入について検討した。 その結果、それぞれ、低熟練労働力と熟練労働力としての外国人を対象とした在留資格である「地方創生1号」と「地方創生2号」の新設を提案した。これは、一定年数の地方圏での居住・就労によって、日本での永住につながる制度であり、これによって地方圏の著しい人口減少に歯止めがかかると期待される。この新しい在留資格の導入には、地方圏の自治体による流入外国人への雇用・住宅・定住支援サービスの提供が必要である。さらに、国としても、以上のような誘導政策を支えるため、社会的統合策の策定によってバックアップすることが必要である。
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