研究課題/領域番号 |
15K12953
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
若林 芳樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (70191723)
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研究分担者 |
由井 義通 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80243525)
久木元 美琴 大分大学, 経済学部, 准教授 (20599914)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 保育 / 福祉 / 地域性 / 立地分析 |
研究実績の概要 |
2015年から導入された「子ども・子育て支援新制度」は,日本の保育や幼児教育の仕組みを大きく転換させる可能性があるが,その影響には運用を委ねられる自治体ごとに違いが生じると考えられる.本研究は,各自治体の子育て支援政策について,地理学的視点と方法を用いながら,次の3つの側面から検討した.すなわち,(1)子育て支援に対する自治体のニーズ調査結果の収集と地域間比較,(2)自治体内の子育て支援のニーズと育児資源の総合的把握,(3)子育て支援事業計画の分析と評価である.これらについて,いくつかの自治体をとりあげて分析を行った.その結果,新制度が発足して以降の変化については,那覇市のように大幅に待機児童を減らした事例ある一方で,大分市のように待機児童が増えたケースもあることがわかった.そこで,こうした違いの背景と問題点を詳しく検討したところ,那覇市の場合は認可保育所の新設によって急速に保育定員を増やしたことが待機児童を減らした背景にあるが,地区の間でのアンバランスも生じていることが明らかになった.これは,事業計画におけるゾーニングに問題があることを示唆している.一方,大分市では待機児童の定義の見なおしが見かけ上の待機児童数を増やした一因であるが,それ以外にも潜在的な需要が喚起されて保育所の利用希望者数が増加したこと,中心市街地の再開発地区での保育需要の高まりによる需給ギャップの発生などが背景にあることが判明した.このことから,自治体のニーズ調査では保育需要の変化を的確に捉え切れていないことがわかる.こうした研究成果の一部は,2018年度日本地理学会春季学術大会やICC2017など内外の学会で発表するとともに,いくつかの論文にまとめて学会誌に投稿する準備を進めている.
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