本研究では、気候変動への適応における文化的想像力と科学技術の相互作用を主にチャオプラヤデルタにおける洪水対策をめぐる実験とそれを取り巻く国際的なネットワークに焦点を当てて明らかにした。チャオプラヤデルタでは、伝統的な建築、都市計画、ライフスタイルの持つ洪水適応性に高い関心が寄せられ、これらの文化的伝統を最新のテクノロジーと融合させることへの関心が高まっている。ここでは、建築家、人文社会科学者、都市計画者、水文・気候科学者といった多様なアクターの間での知識の相互翻訳が重要な役割を担っている。歴史的に蓄積された洪水経験に基づくこうした実験は、国際的なネットワークの中で急速に注目を集めている。
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