研究課題/領域番号 |
15K12962
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50567295)
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研究分担者 |
川田 牧人 成城大学, 文芸学部, 教授 (30260110)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フィールドワーク / <ひと>焦点化インタビュー調査 / 写真観察法 / スマホ時代のフィールドワーク |
研究実績の概要 |
本研究は【1】フィールドワーク方法の開拓 【2】フィールドワーク教育への援用 【3】研究資料蓄積を行う。最終的には【1】の開拓が目的であり、そのために教育現場での実践【2】と、フィールド ワーク方法論自体の聞き書き【3】を両面で展開する。これらを2 年計画で実施する本研究の初年度の研究実績の概要は以下のとおりである: おもに【2】研究方法の開拓から着手し、研究代表者の勤務校における担当科目「フィールドワーク概論」(早稲田大学理工学術院)および分担者の勤務校における担当授業「文化史実習Ⅲ」(成城大学文芸学部)においてあらたなフィールドワーク教育を目指す試みを展開した。 前期においては両校合同で実施し、履修者が『フィールドワーカーズ・ハンドブック』における「写真観察法」の技法を共有できるよう学習し、6~8名のチームを結成。つぎに東京都内の特定地域を選定し、その複数地点において撮影した写真のプレゼンテーションをふまえたディスカッションをとおしてフィールドワークテーマを設定し、各チームがフィールドワークを実施した。それを画像・考察・分析込みのパワーポイントとしてまとめて報告するといった、フィールドワーカー一連の作業を履修生が取り組み実践した。 後期は各校個別に、前期の調査地において、<ひと>焦点化インタビュー(「被写体本人に説明してもらうインタビュー」)を試みた。 いずれの試みも有意義であり、充実した調査報告書が提出され、それは冒頭でいうところの【3】にもつながった。また本年度の成果は、今後の、教育法への援用という部分に厚みをもたせる、しいては冒頭に記した【1】にむけての足掛かりとなった。 また、【3】については代表者および連携研究者による論文報告(「地域社会を創る」特集『文化人類学研究』16巻)において成果を著わしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり進展している
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今後の研究の推進方策 |
【1】研究方法の開拓 初年度の写真観察法を継続するとともに、〈ひと〉焦点化インタビューについては、初年度の成果を深め、「被写体を説明できる人物を探してインタビューする」アプローチをこころみる。2年間の研究実践を通して、写真観察法と〈ひと〉焦点化インタビューを融合させた方法にもとづいたフィールドワーク報告書を作成する。 【2】フィールドワーク教育への援用 初年度で得た画像資料をタブレットや PC に取り込んでふたたび現場へ持ち出し、資料提示調査 やインフォーマントへの相互コメントを得る方法として用いる。また GPS などを用いて画像に地理情報を加える技法を採り入れ、地図と写真を有効に利用でき るようにする。 【3】研究資料蓄積 初年度でインタビューできなかった対象を継続調査する。
最終年度となる2 年目には、研究期間全体にわたる成果として、フィールドワーク・テキストを刊行する。この出版物においては、2 年のフィールドワーク成果 をとりいれ、そこから直接具体的に学びうるものを編む。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、フィールドワーク手法の教育への援用にかんする研究実践が大半を占め、代表者および分担者ともに都内での研究打ち合わせおよび合同授業が可能であったため、当初計画で見積もったほどは旅費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はフィールドワーク手法開拓のキーとなる連携研究者との打ち合わせおよび聞き書きのため福岡と関西への旅費に充てる計画である。
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