本研究では、近親者のいない人が死亡した際、葬儀がどのように行われているか実態を把握し、個人化の進む日本社会での死の状況を照射することを目的とした。調査の結果、2010年代になってこのような死者が増加し対応に苦慮している地方自治体も多いことが判明した。また基本的には自治体が火葬、納骨を実施するが、さらに葬送儀礼やその後の慰霊祭なども行う自治体もあり、その対応は多様であることが明らかとなった。なかには民間団体と協力し、延命措置の有無や希望する葬儀や納骨について自己の意思を実現する仕組みを構築した自治体もあり、次第に個々人の意思に添った形で死を社会的に支える機制が生じつつあることを指摘した。
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