研究課題/領域番号 |
15K12966
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
ASKEW David 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (90343722)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リバタリアニズム / 自由至上主義 / 海賊の社会史 / カウボーイの社会史 / 無政府資本主義 / 最小国家論 / 無政府主義 / 古典的自由主義 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクト「海賊とカウボーイーー無政府資本主義の意義と可能性」の目的は、法哲学の手法に則り、リバタリアニズム(自由至上主義)の中でももっとも急進的とされる無政府資本主義に焦点を絞り、実証主義的視点・規範主義的視点から、無政府社会における公共財の私的供給のあり方を検証することにより、無政府資本主義の可能性を探ることにある。具体的には海賊と開拓時代のアメリカのカウボーイを実証研究の調査対象として例にとり、無政府資本主義を実証主義的視点・理論的視点から考察することである。平成27年度では、この目的に沿って、理論的枠組みを構成することに力を注いだ。平成28年度では、平成27年度の理論枠組みの構成という研究成果を踏まえて、発展させた。具体的には、ホッブス問題に照準を合わせて、前年度中に得た実証主義の結論を、規範理論として再構成した。国家の果たす機能をほぼ全面的に代替している海賊・カウボーイの国家なきメカニズムを検証し、研究成果を理論化して、法秩序を含む知的公共財の詩的供給の可能性を探った。そして、今後の課題を明らかにすることを目指すために、無政府資本主義の実証研究の理論的再構成を試みた。また「ホッブス問題の壊滅ーー国家なき社会秩序の保障」という研究論文の執筆にとりかかった。この論文は、平成29年度中に完成する予定である。平成28年度における本プロジェクトの研究計画はほぼ順調に進行したといえるのではないかと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね順調に進展している。理論的枠組みの構成、実証研究の検証、研究成果としての論文執筆も進んでいる。また期待せずして「無政府主義」に関する原稿の依頼を海外の有力出版社(Springer Nature)から受けて、5,000ワードの英文を執筆しつつある。平成29年度中に原稿を提出し、Encyclopedia of the Philosophy of Law and Social Philosophyという共著という形で出版されることとなるはずである。
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今後の研究の推進方策 |
前2年間の研究では、国家なき社会における公共財の私的供給の可能性を探ってきたが、平成29年度では、現代性議論・国家論の視点からその現代的意義を明らかにする。それにあたり、上記の「無政府主義」に加えて、「国家破産の時代の法哲学」という論文を執筆する予定である。本研究課題は順調に進展しているので、平成29年度も順調に進むと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した書籍の未精算分があるため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は書籍代として使用する。
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