研究課題/領域番号 |
15K12967
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
阪本 尚文 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (60707800)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 丸山眞男 / 八月革命 / 正統と異端 |
研究実績の概要 |
天皇主権を基本原理とする明治憲法を国民主権を定める日本国憲法に改正することは、憲法の根本的支柱を取り除く一種の自殺行為であり、法的に許されないのではないか?この現行憲法の正当性をめぐる難問を説明する有力説のひとつが、戦後憲法学の泰斗、宮澤俊義が提唱した「八月革命説」である。宮澤によれば、ポツダム宣言は明治憲法の基本原理と相容れない国民主権の要求を含んでいたのであり、日本がこれを1945年8月に受け入れた時点で主権は天皇から国民に移動し、法学的意味の「革命」が成立したのだった。 もっとも、1980年代に憲法学者鵜飼信成が八月革命説の発想を宮澤に示唆したのは20世紀日本を代表する政治思想史家丸山眞男(1914-96年)である、というエピソードを人づてに聞いたと記して以来、八月革命説の実質的な発案者=丸山の図式が定着したが、現在までに公刊された資料の中で丸山がこの点に触れているものはなく、丸山自身の八月革命説理解は、空白のままであった。 そこで、本研究は、この八月革命説のアイディアを宮澤に提供したと言われる丸山自身の八月革命説理解を、丸山が遺した図書・草稿を所蔵する東京女子大学丸山眞男文庫(2012年に全面開館し、約 2 万冊の蔵書と約 3 万頁の草稿類を収める)を活用して解明することを試みている。 平成27年度には、丸山を中心に約40年間継続した「正統と異端」研究会の関連資料を調査するなかで、八月革命説のアイディアを宮澤に提供したことを丸山自身が認めている新史料(「正統性と合法性(談話速記1985年7月3日)」(「丸山文庫」[資料番号568])、85葉)を発見し、現行憲法の正統性を担保する有力な理論の誕生過程の一端を実証的に解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記した内容を含む拙稿「丸山眞男と八月革命(1) ――東京女子大学丸山眞男文庫所蔵資料を活用して」『行政社会論集』第28巻第1号、2015年7月、1-75頁を公刊した。 また、丸山眞男などが指導した戦後社会科学における経済史学と憲法学との学問交流史について、2015年10月に福島大学で開催された政治経済学・経済史学会・2015年度秋季学術大会において報告するとともに(「憲法学と経済史学のあいだ――フランス革命史を中心に」)、その報告原稿に加筆した拙稿「戦後憲法学と経済史学」『行政社会論集』第28巻第4号、2016年3月、13-55頁を公刊した。
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今後の研究の推進方策 |
1980年代の「正統と異端」研究会資料の本格的読解を通じて、丸山の日本国憲法制定過程に対する評価と1980年代の八月革命説の「再発見」の過程を解明することは、2016年冬に『行政社会論集』(福島大学行政社会学会紀要)第29巻に掲載予定の論文における課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
わずかながら誤差が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
差額は36円のみであり、使用計画は当初のものから特に変更しない。
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