本研究は、地理的及び法的前提が違うも、20世紀初頭からの人間活動の量的増大、質的変容に対応して形成・発展してきた南極域国際法秩序の100年間の歴史的教訓から、今後の北極域国際法秩序形成を促す推進原理とその方向性を明らかにすることを目的とする。 本研究の最終年度となる本年は、昨年度末まで実施した南極現地における調査活動を踏まえた研究報告を南極研究科学委員会・人文社会科学専門家会合(SCAR-HASSEG)の年次研究大会(オーストラリア・ホバート)で行ったのを始め、一般市民向けのセミナーや記事を執筆した。南極での調査活動を含めた本研究課題の研究成果を、『国際法学者、初めて南極に立つ!国際法フィールドとしての南極・北極』と題して書籍にまとめる作業を進めている。その一部を、『極地』第53巻第2号に発表した。 北極域における科学活動を促進する新たな条約「北極に関する国際科学協力を促進するための協定」につき、これを本邦で初めて和訳して条約集に掲載するとともに、その内容を法的に分析する論文と一般向け記事を発表した。
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