自動運転自動車により人身事故が生じたとき,刑事責任の追求可能性及びその要件が問題となる。この場合,部分的な自動運転の場合,完全な自動運転の場合などにより状況を区分けした上で,自動運転自動車に乗車し,使用している者の刑事責任,自動運転自動車を販売した者及び自動運転自動車を製造した者の刑事責任がそれぞれ検討されなければならない。わが国の過失犯論は,因果関係の点でも正犯性の帰属の点でも,容易に背後者へと遡及する責任帰属の判断をとっており,ただちに販売者,製造者の責任が限定されることにはならない。 短期的には,現在の刑事責任に関する議論を適用せざるをえない。
|