研究課題/領域番号 |
15K12975
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
弥永 真生 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (60191144)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 会計 / 監査 / 会社法 |
研究実績の概要 |
本年度も、まず、北アフリカ諸国の商事法の特徴の調査を継続した。これにより、チュニジアやモロッコなどは、旧宗主国であるフランス法の影響を強く受けている一方で、コモン・ロー系の国々では民法典は制定されていないものの、会社法あるいは会社法を含む商法典は制定されていることを確認した。 また、チュニジアにおける会計及び監査に関する法規制を調査した。まず、チュニジアの所管当局はチュニジアの会計基準を2014年までに IFRS に移行するという方針を示したが、現在のところ、IFRS への移行の見通しは不透明であり、上場会社も法令上要求されている財務諸表・連結財務諸表を IFRS によって作成することはできない。したがって、1996年法律第112号が上場会社及び非上場会社の会計を規律している。チュニジア会計基準第1号から第15号までは、当時の国際会計基準に沿ったものであったが、その後は、国際会計基準や国際財務報告基準の一部しか、チュニジア会計基準に反映されていない。このように、チュニジアにおける会計基準設定がきわめて遅いことの背景には、まず、全国会計審議会が適時に国際的な会計基準を取り込み、関連する会計基準設定活動を行う資源を有していないことがあるが、国際会計基準審議会が公正価値モデルを参照していることも一つの原因である。このような国際会計基準審議会のアプローチは市場が活発な先進国の必要により適合しており、開発途上国の会計基準設定主体は、公正価値を測定基礎とする新たな国際財務報告基準を取り入れようとすると重大な懸念に直面するからである。 他方、監査との関係では、フランスの影響を受け、一部の会社については共同会計監査が要求されているし、ファーム・ローテーションもとりいれられ、しかも、被監査会社の株主総会に提出した監査報告書をチュニジア中央銀行に提出しなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が、平成29年初夏の健康診断の際に心筋梗塞の疑いがあるとの指摘をうけ、夏から秋にかけて、精密検査等を受けていた(結局は異常なしとの診断を受けた)こと、秋以降は、大学での役職のため、スケジュールの調整ができず、予定していた外国出張ができず、かつ、その際に購入する予定であった資料等を購入できなかったため
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度末から平成30年度初めにかけて、アメリカの議会図書館において資料収集を行う。さらに、平成30年度は、これまで入手した文献をさらに分析するとともに、ハンブルクのマックス・プランク国際・比較私法研究所を訪問し、同研究所所蔵の文献を活用することによって、研究の効率化を図るとともに、チュニジアで訪問した弁護士等の協力を得られる予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が、平成29年初夏の健康診断の際に心筋梗塞の疑いがあるとの指摘をうけ、夏から秋にかけて、精密検査等を受けていた(結局は異常なしとの診断を受けた)こと、秋以降は、大学での役職のため、スケジュールの調整ができず、予定していた外国出張ができず、かつ、その際に購入する予定であった資料等を購入できなかったため。 3月末から4月上旬にかけて、資料収集のため外国出張を行うほか、平成30年度中に資料の収集及び調査のための外国出張を複数回行い、使用する予定である。
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