研究実績の概要 |
本研究の当初の目的は日本法を対象に,著作権の利用権を中心とした知的財産権,特に複数の知的財産権の利用関係が組み合わされた権利関係の倒産処理の利用について,事業譲渡等を含め,知的財産権利用者の権利保護の視点から考察を行うものである。 本年度のは前年度から継続して,情報コンテンツの正確性や新たな利用形態が出現による知的財産利用の継続が困難になる要因についても整理を行った。デジタルコンテンツ取引に関するEU指令提案において、倒産を含む不履行を原因とする契約解除ないし契約終了の処理について米国ALI原則との比較検討を行い,川和功子=金子宏直・法とコンピュータ(No. 36)として公表した。 研究成果の国際学会における報告として,Hironao Kaneko,LSA Tront 2018においてデジタルコンテンツ取引の対象と、取引自体がデジタル技術のVRやARを利用する電子商取引について、取引に適用される法的問題について考察を行った。また,Hironao Kaneko, RCSL-SDJ Lisbon Meeting 2018において,3D加工等に活用される技術情報を中心として,従来,営業秘密ないしノウハウとして分類される知的財産を取り上げた。これらの情報を承継ないし第三者に譲渡可能な財産として重要性が新たに認識されるようになった現状とともに,技術保護の視点から日本における不正競争防止法による営業秘密の保護について考察を行った。 財産的価値のある新しく現れる報財について,それらの取引とその譲渡可能性に関して,倒産法以外の法的保護の現状と、情報利用が困難になること事業継続が困難となる場合について,民事再生手続の開始要件「事業者の経済的窮境」との関係について整理を行った。
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