研究課題/領域番号 |
15K12977
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
肥塚 肇雄 香川大学, 法学部, 教授 (30295844)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動的リスク / 健康年齢 / 個人情報 / 顧客情報 / ビッグデータ |
研究実績の概要 |
生命保険契約等の人保険契約について、保険会社はICTを使ってリスクを測定し、保険会社が提供する危険負担(いわゆる安心又は安全)を厳密に評価しそれに対する対価としての保険料の算定をより高い精度をもって行うことができるようになってきた。保険契約(保険法2条1号)には給付反対給付均等の原則が求められる。 従来の測定対象は静的リスクであり、たとえば、保険年齢は年齢により算出し基本となる保険料はこれにより算出できたが、ICTの利活用により、たとえば、被保険者が装着したウエアラブル端末から被保険者の健康状態を動的リスクとして測定し、リアルタイムでのリスク測定として、健康に係るビッグデータに照らして解析し健康年齢を導き、それに応じた保険料を算出することができるようになったのである。これにより、保険契約における給付反対給付均等の原則はより徹底されることも可能となったといえる。 また、生命保険契約を販売する際にも、保険契約者側の家族情報(配偶者及び子の健康情報も含む)等の顧客情報も収集し、今後の契約更新、新規契約にも利活用できる。 しかし、他方においては、保険契約者側の情報、とりわけ被保険者の個人情報の保護がたいへん重要な問題となる。医療技術の発展を背景として、出生前診断から出生後の既往症、さらに、GPSを使用しての運動量の測定を行うことは、上記のリアルタイムでの被保険者の日々の動的な健康情報をモニタリングするとになるので、被保険者の個人情報が保険会社に吸い上げられることになる。 今後はさらに、個人情報保護法も改正されたので、保険会社が保険契約者側の情報を新規契約、更新に向けて利活用するため、又は、被保険者の動的リスクを測定するため、被保険者の個人情報がどのような条件の下で保険会社に利活用されることが許されるのかについて検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本保険学会の学会誌・保険学雑誌636号189頁以下(2017年)に「保険会社のICTを使った危険測定と自動車保険契約等への影響」と題する拙稿を寄稿した。本稿では、ビッグデータを使って、動的リスクの測定を生保会社及び損保会社が行っていることを示し、個人情報保護をいかに保護するかという問題が重要となり、また、動的リスク測定が保険契約のあり方に影響を与えることを示した。 顧客情報も動的に変化する情報であり、保険会社が求める情報のあり方は、販売という観点では、家族の情報を含めた最新の顧客情報であり、リスク測定という点では、リアルタイムでの情報である。いずれも、動的情報であるが、動的情報の最新の情報を求めれば求めるほど、個人情報保護法と抵触するおそれがあり、これらをどのように調整するかが問題となる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、改正個人情報保護法をさらに研究し、保険会社が求める顧客情報及び動的リスク情報の収集のあり方についてあるべき規制を検討したい。この際、顧客情報及び動的リスク情報を適切に行わなければ、保険会社の保険制度が成り立たなくなるというおそれがある、すなわち、上記の動的情報を保険会社が収集してビッグデータ化し、リスク測定に利活用していくと、保険の種類によるが、保険契約者側が動的リスク測定の結果について知不知を問わず、保険料の額が高額過ぎると、保険契約を締結できず、他方、保険料の額が低いと、リスク発生のおそれは低くなるので、保険契約を締結しないという現象が起き得る。 このように、単に個人情報保護の観点からだけでなく、リスク測定のための動的情報の収集のあり方が、保険制度の根幹を揺るがしかねないという視点から、研究を進め、その成果をまとめたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
来年度さらに適正な執行を行う
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次年度使用額の使用計画 |
来年度さらに適正な執行を行う
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