研究課題/領域番号 |
15K12979
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
宮崎 秀一 弘前大学, 教育学部, 教授 (60166147)
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研究分担者 |
飯 考行 専修大学, 法学部, 教授 (40367016)
平野 潔 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70400124)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 市民の法感覚 / 世代間対話 / 学社融合 / 法教育 |
研究実績の概要 |
「コミュニティ・コート」(以下CCと略す)とは,中学生から社会人まで,世代・年齢,職業・立場の多様な市民が参加して地域社会において実施する架空の裁判である。 平成27年度からの3年間で4つの地域に出向いて開催し、最終29年度にはその成果を学会(法と教育学会)で発表した。本研究の成果は以下の3点に集約される。 第1に,裁判員裁判の形態で行うCCでは,参加者が犯罪の背景にある社会的・地域的課題についても議論し,現行法の解釈運用のあり方や法改正レベルまでを含む,いわば応用的・実践的法リテラシーを身につけることが可能となる。第2に,CCは学校教育と社会教育を融合した法教育実践であり、新学習指導要領が目指す「社会に開かれた教育課程」のモデルになり得,また評議においては多様な世代間の意見交換により「主体的で対話的な深い学び」「多面的・多角的な考察」の機会となる。第3に,最も若い市民世代であるCCコーディネーター役の大学生が、単なる知識としてではなく,司法システム前後の課題,すなわち被告人が犯罪に至った経緯及び判決後の更生の問題や当該事案の背景にある社会的課題を踏まえた上で裁判制度を捉えられるようになり,また議論の進行や意見集約方法など汎用的能力を獲得できる。 今後の展望として、CCは単に刑事裁判あるいは裁判員制度の体験プログラムとしての性格を超え,個々の事案に含まれる家族問題,消費者問題,労働問題,福祉・社会保障,税制,犯罪予防,更生保護など現代社会の直面する様々な課題をより意識的に取り上げる―そのため裁判形態としても刑事事件に限らず、民事・行政・少年事件を採用する―ことを検討したい。とりわけ,近年様々な法分野における成年年齢の引き下げが論議されている中、中高生ら10代後半の若い世代がCCで年長者とともに疑似体験的に法的解決策を探る過程で法リテラシー形成することを期待する。
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