研究課題/領域番号 |
15K12986
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
城山 英明 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (40216205)
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研究分担者 |
松尾 真紀子 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 研究員 (40422274)
谷口 武俊 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 教授 (50371216)
永井 雄一郎 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 研究員 (50749033)
岸本 充生 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (60356871)
藤原 帰一 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90173484)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リスク・アプローチ / セキュリティ / オールハザード / 宇宙 / サイバー / エネルギー / 公衆衛生 |
研究実績の概要 |
本研究は、「安全」・「セキュリティ」の両領域を包含したガバナンスのあり方を模索することを目的としている。具体的には、従来の「セキュリティ(安全保障)」の研究に「安全(セーフティ)」の領域で発展してきた「リスク・アプローチ」の視点(定量的・定性的可視化、リスク間比較、優先順位づけ等を含む)の導入を試みることで、セキュリティ領域の個別分野の脅威の包括的扱いや優先順位づけの可能性を検討するとともに、セキュリティ領域由来の特性や課題を明らかにすることを試みている。また、そうした他領域への適用を通じて「リスク・アプローチ」自体の手法や枠組みの再検討も行っている。 平成27年度は、先行研究の文献調査や学会(世界リスク学会、2015年7月、シンガポール)や国際シンポジウム(Issues and Challenges in Security and Risk research Communities in Japan、2016年1月、東京)における国内外の専門家等との議論を通じて研究を展開し、セキュリティ領域における脅威とその対応の整理と、リスク・アプローチにおける基盤的課題の検討を行った。具体的には、諸外国(欧州や米国に加え、シンガポールなど)における、政府一体のオールハザードのナショナルリスクアセスメントの事例や経験から、セキュリティ分野におけるリスク分析導入の課題についての知見を整理した。また、日本でそのような試みが欠如している要因についての検討も行った。こうした政府一体型かつ、オールハザード対応への取り組みを展開するには、その手法やアプローチの基盤作りをセキュリティとリスクのコミュニティのアカデミアが共同で展開することが必要との認識を確認した。さらに、安全領域と接点を持つセキュリティ領域における具体的課題を明らかにするために、宇宙、サイバー、原子力、エネルギー、公衆衛生に関する検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた、具体的な様々なセキュリティ領域における脅威とその対応の整理、リスク・アプリーチにおける基盤的課題や制度的対応に関する既存研究の整理を、学会や研究会等における専門家との議論について実施することができた。また、来年度取り組むべき課題についても示唆を得た。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度の成果をもとに「リスク・アプローチ」のセキュリティ分野への適用により浮かびあがる課題についての検討をさらに行う。具体的には以下を実施する。①セキュリティ領域の脅威に対する「リスク・アプローチ」の適用について、宇宙、サイバー、原子力、エネルギー、公衆衛生といった個別領域の事例の分析も踏まえて検討を行う。②セキュリティ領域への「リスク・アプローチ」の適用における情報収集を含む具体的手法(シナリオやフォーサイト等)の整理と検討を行う。③「リスク・アプローチ」の制度設計上の課題(リスク評価とリスク管理の体制や役割分担等)についても検討を行う。そして、最終的に④安全領域とセキュリティ領域を包含する枠組みの検討を試みる。以上の課題について国内外の研究者と国際的な議論を通じて「セキュリティ」分野と「安全」分野を橋渡しする枠組み・方向性を明らかにし、研究成果を取りまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額となっている項目は、海外調査・発表のための旅費と研究補助のための人件費である。海外調査・発表を実施するにあたり、文献調査等の整理は行えたものの、さらなる調査とブレーンストーミングにより調査のポイントを絞る必要性があると判断したことから次年度に実施することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、本年度実施を先送りした、海外調査・発表及び、研究補助の為の人件費として用いることとしている。
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