研究課題/領域番号 |
15K12988
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋月 謙吾 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60243002)
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研究分担者 |
城戸 英樹 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (30582358)
南 京兌 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50432406)
真渕 勝 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70165934)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幸福 / 公共政策 |
研究実績の概要 |
人々の幸せな生活は、政府が新鮮な政策的原材料を提供することから出発する。なので、幸福の研究が政策との関係で議論されるのは当然である。中央政府と地方政府が何らかの政策を実行すれば、人々の幸福度が変化する。幸福の決定要因は、国民の厚生に寄り添いかつ人々に歓迎される公共政策の基盤を作る。政府は、抽象的ビジョンと具体的な目標を設定することによって人々に希望を与え、身近な政策課題を執り行うことを通じて人々の生活を安定させながら、人々が自分たちの生活に積極的に参加するようにして、人々を幸福にすることができるのである。 幸福の研究において最も大きな反響と論争を呼び起こしたのが、所得と幸福の相関は弱く、所得が増大しても主観的幸福感は高まらないという、イースタリンによる「幸福のパラドックス」である。日本・アメリカ・韓国3カ国における幸福度と所得の関係を分析してみると、韓国では所得水準が上昇すれば幸福の増大効果は大きいが、日米においては明確な相関が見られない。また、幸福度が安定する所得レベル(日本5千ドル、アメリカ1万5千ドル、韓国2万5千ドル)でも国ごとのばらつきは大きい。 所得が高くなっても、それに対応して、幸福度は高くならなければ、所得以外に人々の幸福度に影響を与える要因は何なのか。人々の幸福に直接影響する公共政策としては、所得以外に、住居政策、福祉政策、健康・医療政策、職業・労働政策、家族政策、ガバナンス、共同体、教育政策、社会寄与・余暇、文化政策、安全・安心政策、環境・生態政策が該当する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに学術論文を刊行した研究分担者もおり、全体としておおむね順調に進んでいる。今年度は、人々の幸福に直接影響する公共政策を特定した。所得、住居、福祉、健康・医療、職業・労働、家族、ガバナンス、共同体、教育、社会寄与・余暇、文化、安全・安心、環境・生態がそれである。今後、こういった公共政策が幸福に与える影響を分析する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の二つの方向から研究を進める。 第1に、所得、住居、福祉、健康・医療、職業・労働、家族、ガバナンス、共同体、教育、社会寄与・余暇、文化、安全・安心、環境・生態政策のなかのいかなる要因が幸福に影響するのかについて計量分析を行う。 第2に、公共政策の諸要因が幸福に与えるメカニズムを解明するための事例分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は2年間に渡って行う課題である。平成27年度は、幸福と公共政策の関係に関する文献を整理し、諸外国の幸福研究に関する現地調査を実施した。そして、取り上げるべき公共政策を特定した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、幸福に影響する要因に関する分析結果を整理し、政策から幸福に至るメカニズムを解明する予定である。
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