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2016 年度 実施状況報告書

リスク管理のプラットフォーム

研究課題

研究課題/領域番号 15K12989
研究機関立命館大学

研究代表者

真渕 勝  立命館大学, 政策科学部, 教授 (70165934)

研究分担者 小西 敦  京都大学, 公共政策大学院, 専門職大学院特別教授 (10431884)
上川 龍之進  大阪大学, 法学研究科, 准教授 (40346656)
中村 仁  日本経済大学, 経営学部(渋谷キャンパス), 准教授 (50435252)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード時間感覚 / 学校教育 / 総合学習の時間
研究実績の概要

リスク対応研究の現状については、1,それぞれ分野が高度に専門分化しているために、相互交流はなきに等しいこと、2,それぞれの専門分野はほぼ孤立していること、3、ほとんどが自然科学者によって行われていることが特徴として指摘できる。
そして、リスク対応の実際の担い手と政治家、行政官、企業を検討した結果、それぞれ以下の理由から大きな期待を寄せるべきでないことを明らかにした。(1)陣笠議員は再選に血道を上げており、大物政治家といえども、いつ起こるともしれない出来事に備えるべきだと訴えたところで、配下の陣笠議員の「票」には結びつかないことから、政治家には期待できない。(2)行政官は在任中の2年間に一定の成果を上げることを目指す。その成果が人事考課に反映され、次にどのポストに就くかが決められるからである。したがって、3年先のことは、10年、30年、100年先のことと同様に、自分には関係のない遠い未来の世界に属するという感覚であることから、大きな期待はできない。(3)東日本大震災を経た日本においてリスク対応は巨大なビジネス・チャンスとなっている。「震災対策技術展」というイベントが年に数回、開催されている。震災という言葉が冠されてはいるが、地震と津浪に限らず、地震、土砂、落雷などに多様なリスクに事前事後に対応する商品が展示されている。しかし、防災商品の大口購入者は地方自治体である。財政難に苦しむ地方自治体がいつまで防災関連に予算を投入し続けることができるかは、一般国民の関心次第である。予算が削減されれば、利潤を追求する企業は防災関連商品の製造販売を断念せざるをえない。それゆえ、企業にも大きな期待をかけることはできない。
以上の理由から、リスク管理のプラットフォームは、学校教育における正規科目として提供する必要がある。本研究ではそのためのカリキュラムの原型を作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記のカリキュラムのイメージを示せば以下のようである。たとえば、高校においてある曜日の1時間目が総合学習の時間であるとする。1週目は英語の教師が「海外旅行中に災害に遭遇したときに知っておくべき英単語と表現を教える」、2週目は日本史の教師が「日本の災害の歴史を古文書や歴史小説を題材に教える」、3週目は数学の教師が「現在の暗号がどのように作られているかを素因数分解の知識を前提に教える」、4週目は「理科の教師が地震発生のメカニズムを教える」。5週目は「美術の教師がヴェスビオス火山の噴火によって一瞬に消えたポンペイの町に残された壁画について教える」・・・・等などである。
リスク対応に特化した「新しい総合学習」のメリットは以下の通りである。1,学校の正規科目に採り入れることによって、生徒・児童は継続的にリスクについて学習する機会を与えられ、ひいてはこれが記憶の継承に貢献する。2,しばしば「学校で学んだことは世の中に出て役に立たない」とする俗説を是正することができる。自らの命を守る学習が役に立たないわけがない。3,「丸暗記は良くない」という俗説をある程度払拭できる。すべてのことが丸暗記で済むことはないが、丸暗記しなければならないことはある。小学校低学年で学ぶ九九などはその典型である。漢字もそうである。リスク対応教育を通じて、丸暗記こそが自らの命を守ることがあることを知らしめることができる。④総合学習の目標が明確になる。現在の総合学習は「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる」とされているが、肝心の目標が明確ではない。有意義な人生を送るため、社会で活躍するためと言っても、やはり茫漠としている。「新しい総合学習」の目標は「いざというときに自分の命を守ること」である。これほど明確な学習の目標はありえない。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画は一にも二にも充実したカリキュラムとテキストの作成である。

次年度使用額が生じた理由

2017年の日本行政学会におけるリスク関連パネルで討論者を依頼されたために、調査研究を引き続き実施して、有意義な討論を展開して、学会に貢献するとともに、研究を一層充実させるため。

次年度使用額の使用計画

上記の目的を達成するに必要な資料等の購入および研究発表・ヒヤリングのための出張に使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] リスク対応教育・序説2017

    • 著者名/発表者名
      真渕勝
    • 雑誌名

      立命館大学政策科学

      巻: 24巻3号 ページ: 293-308

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 地方自治体の東京事務所2017

    • 著者名/発表者名
      真渕勝・高東柱
    • 雑誌名

      立命館大学政策科学

      巻: 24巻4号 ページ: 251-276

  • [雑誌論文] 「地方創生」の「総合評価」序章2016

    • 著者名/発表者名
      小西敦
    • 雑誌名

      地方政治研究・地域政治研究

      巻: 23巻2号 ページ: 1-11

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公開日: 2018-01-16  

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