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2016 年度 実施状況報告書

時政学の構築-“政治的資源としての時間”の解明-

研究課題

研究課題/領域番号 15K12990
研究機関青山学院大学

研究代表者

高橋 良輔  青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (70457456)

研究分担者 芝崎 厚士  駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 准教授 (10345069)
山崎 望  駒澤大学, 法学部, 准教授 (90459016)
大庭 弘継  南山大学, 社会倫理研究所, 研究員 (00609795)
川名 晋史  一般財団法人平和・安全保障研究所, その他部局等, 客員研究員 (10611072)
今井 宏平  独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
伊藤 丈人  青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (50739373)
佐藤 史郎  大阪国際大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (40454532)
中内 政貴  大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード時政学 / 基地政策 / 平和構築 / 安定化 / ポール・ピアソン / ポールヴィリリオ / ヴォルフガング・シュトレーク / Tim Stevens
研究実績の概要

研究計画全体の中間年度となる平成28年度は、発展的研究を実施した。そのため研究の焦点は、”政治的資源としての時間”をめぐり、「基礎構造」の持続と変容の解明/政策過程における「稀少価値」の抽出に置かれている。
研究推進の具体的方法は、前年度に各研究者が提示した研究構想に沿って課題を追究する個別研究と、その研究の進捗状況について報告・討議を行う研究会という二つの側面から実施された。
特に10月1日の研究会は、日本政治学会における公募企画(分科会A4)「”政治的資源”としての時間――基地政策・平和構築・安定化の過程からの抽出」(立命館大学)として採択され、個別研究の成果として、「沖縄の基地集合の偏移と時間性」(川名晋史)、平和構築活動において「時間」が国際/現地アクターに及ぼす影響」(中内政貴)、「新しい戦争が終わるとき――責任を負うべき時間の伸縮」(中村長史)が報告され、広くフロアの参加者からもコメントを得ている。
また通算第3回目となる12月10日の研究会(青山学院大学)では理論班が研究報告を担当し、「ポール・ピアソン『ポリティクス・イン・タイム』について」(芝崎厚士)、「ポール・ヴィリリオにおける時政学について」(高橋良輔)が報告された。
さらに通算4回目となる3月19日(青山学院大学)の研究会では理論班より、「ヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義』について」(山崎望)および「Tim Stevens, Cyber Space and the Politics of Timeについて」(高澤洋志)が報告され、時政学の理論的アプローチに基礎的視座を確認することができた。また研究成果の公刊に向けて出版社の編集者との意見交換も開始することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

時政学の構築に向けた発展的研究はおおむね順調に進展している。
まず「基礎構造」の持続と変容については、第3回研究会ならびに第4回研究会において、ポールピアソン、ポール・ヴィリリオ、ヴォルフガング・シュトレーク、Tim Stevensの先行研究を理論班が分析しており、クロノス/カイロス、近代的時間/土着的時間、Politics in time / Politics of time という三つの対象軸を発見し、「時間構造」の解明という28年度の達成目標をほぼ実現した。
他方、政治過程における「稀少価値」については、日本政治学会分科会A4において、基地政策・平和構築・安定化の三つの事例研究が発表されており、「時間要因」の抽出という28年度の達成目標をほぼ実現することができた。
そのほかの宇宙政策・外交政策・核兵器・食品安全等の事例研究については、個別に研究活動が進行中であり、29年度に研究会を通じて報告が行われる見込みである。
さらに共同研究の成果の公刊に向けて、出版社の編集者も研究会に参加するなど、共同研究成果の総括に向けた取り組みも進行中である。

今後の研究の推進方策

共同研究の最終年度となる平成29年度は、総括的研究を実施する。このため研究の焦点は、”政治的資源”としての時間の解明 / 時政学の構築 におかれている。
研究推進の具体的方法は研究会開催による報告および討議のかたちをとり、内容としては各個別研究からの含意の抽出ならびに共同研究全体の総括を実施する。まず第5回研究会では、個別研究のピアレビューを行うこの相互検証を通じて、各自の個別研究を一層洗練させていく。また第6回研究会では、主に理論的含意の抽出を行う。各々の理論研究の成果のあいだに見出される共通性と差異を抽出することで、”政治的資源としての時間”の位相を解明したい。さらに第7回研究会においては、主に各事例研究のあいだに見出される共通性と差異を抽出することで、時政学における新たな分析視角を確立する。
なお、これらの個別研究の成果は29年度末までに研究論文として個別に提出し、助成金の交付期間終了後に共著書として公刊することを目指したい。

次年度使用額が生じた理由

2016年度は、3か年の共同研究期間の中間年度であり、最終年度において臨時的に必要となる旅費・物品購入費・謝金等にも充当できるように次年度使用額が生じている。
また学会出張費等は、各研究者が有する別予算を充当した場合もあり、次年度使用額が生じることとなった。

次年度使用額の使用計画

2017年度は共同研究の最終年度であり、複数回の研究会が東京都内で予定されている。そのため次年度使用額の一部は、研究会や関連学会参加のための旅費に充当される。
また最終年度においては、各位が研究成果の公刊に向けた研究論文を執筆することから、必要な物品(主に専門分野の研究書籍)や消耗品を購入することが予定されている。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 危機の時代における民主主義(1)―例外状態における統治2017

    • 著者名/発表者名
      山崎望
    • 雑誌名

      『駒澤法学』

      巻: 16-3 ページ: 43-61

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rethinking the Insulator State: Turkey's border security and the Syrian civil war2017

    • 著者名/発表者名
      Kohei Imai
    • 雑誌名

      Eurasia Border Review

      巻: 7-1 ページ: 19-29

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 民族主義者行動党はなぜ大統領制に賛成したのか2017

    • 著者名/発表者名
      今井宏平
    • 雑誌名

      『中東レビュー』

      巻: 4 ページ: 19-22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ポスト・グローバル時代の空間秩序像―古典地政学への回帰?2016

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 雑誌名

      『青山 地球社会共生論集』

      巻: 1 ページ: 3-42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国際協力NGOのアドボカシー・ポリティクス―シンボルからアレゴリーへ2016

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 雑誌名

      『生活経済政策』

      巻: 232 ページ: 24-28

  • [学会発表] 危機の時代における民主主義―民主主義の主体をめぐって2016

    • 著者名/発表者名
      山崎望
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-10-02 – 2016-10-02
  • [学会発表] アドボカシーの形態学―国際協力NGOの葛藤2016

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-10-02 – 2016-10-02
  • [学会発表] 沖縄における基地集合の偏移と時間性2016

    • 著者名/発表者名
      川名晋史
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-10-01 – 2016-10-01
  • [学会発表] 平和構築活動において「時間」が国際/現地アクターに及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      中内政貴
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-10-01 – 2016-10-01
  • [学会発表] Nuclear Disarmament and Nuclear Umbrella in US-Jア藩Relations2016

    • 著者名/発表者名
      Shiro Sato
    • 学会等名
      The Second Coference of the European Association for Japanease Studies
    • 発表場所
      Kobe University
    • 年月日
      2016-09-24 – 2016-09-24
    • 国際学会
  • [学会発表] Turky and Border Security2016

    • 著者名/発表者名
      Kohei Imai
    • 学会等名
      24th World Congress Political Science
    • 発表場所
      Poznan
    • 年月日
      2016-07-28 – 2016-07-28
    • 国際学会
  • [図書] 『トルコ現代史―オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』2017

    • 著者名/発表者名
      今井宏平
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      中央公論新社
  • [図書] 滝田賢治(編)『21世紀国際政治の展望』2017

    • 著者名/発表者名
      今井宏平
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      中央大学出版部
  • [図書] 西谷真規子(編)『国際規範はどう実現されるか』2017

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 総ページ数
      377
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] 菊池理夫・有賀誠・田上孝一(編)『政府の政治理論』2017

    • 著者名/発表者名
      高橋良輔
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 樫村愛子(編)『移民/難民のシティズンシップ』2016

    • 著者名/発表者名
      山崎望
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2018-01-16  

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