アジアでは、南シナ海の無人島や岩礁の主権を巡り緊張が高まっている。中国が同地域での軍事的プレゼンスを高める一方で、日本は沿岸諸国に対する支援を強化している。本研究の目的は、日本の沿岸諸国に対する関与拡大の要因を分析することであった。 既存の研究は、日本が南シナ海問題に積極的に関与しているのは、尖閣諸島防衛のためであると論じる。しかし本研究は、日本の軍事的援助は、尖閣諸島の主権問題に加え、「法の支配」等のリベラルな価値観や規範を強化することが目的であったと論じる。日本の「規範保護者」としての戦略は、二国間や多国間の場での発信に加え、海上保安庁などを通じた現場レベルでの支援であった。
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