研究課題/領域番号 |
15K13010
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山田 宏 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (90292078)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ブリッジ回帰 / HPフィルター / ESフィルター / トレンド / l1トレンドフィルター |
研究実績の概要 |
本研究は,「ブリッジ・フィルター:新しいフィルター・クラスの提案」という研究課題のもと,King and Rebelo (1993)により研究された指数平滑化フィルター,Hodrick and Prescott(1997)により提案されたホドリック・プレスコット・フィルター(以下,HPフィルター), Kim他(2009)により提案されたl1トレンド・フィルター,そして1D fused lassoといったポピュラーなトレンド推定手法をその特殊ケースとして含む新たなフィルター・クラスを提案し,その応用上の課題克服を目指すとともに,マクロ計量経済分析への応用を試みる。新しいフィルターは,Fu (1998)により研究されたブリッジ回帰と密接に関連している。研究計画の2年目にあたる今年度は,この研究に応用できる関連研究として,(1)l1トレンド・フィルターを応用して米国の実質GDPの区分線形トレンドを推定する研究,(2)米国のNAIRU推定に関する研究を行い,それぞれの研究から得られた成果を査読付国際学術誌に発表した。 そのほか,(3)HPフィルターにより推定されたトレンドが線形トレンドよりももっともらしい理由を解明する研究,(4)HPフィルターによるトレンドに加えてトレンドの外挿値を同時に推定できるようにHPフィルターを拡張する研究,そして(5)損失関数をチェック関数にしたHPフィルターの分位点回帰版の開発に関する研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。この研究に応用できる関連研究として,l1トレンド・フィルターを使用して米国の実質GDPの区分線形トレンドを推定する研究を行ったほか,米国のNAIRUに関する研究を行い,研究成果を査読付国際学術誌に発表できたこと,損失関数をチェック関数に置き換えた新たなフィルターの開発に関する研究を新たに進めたこと,そしてpure HPフィルターを開発できたことなどによる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度,次年度に引き続き,関連研究の調査を行うほか,この研究に応用できるHPフィルターやl1トレンド・フィルターの研究を行い,最終的に最終年度での研究の完成につなげることを計画している。これまでの研究の過程で,開発を計画しているブリッジ・フィルターにもpure ブリッジ・フィルターとでも呼べそうなフィルターが存在することに気付いた。研究期間の最終年度に当たる今年度は,こうしたpure ブリッジ・フィルターを含めた形で論文をまとめる計画である。そのほか,損失関数をチェック関数にしたフィルターの提案とその実用化に向けた課題の克服もあわせておこないたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に論文英文校閲の発注を行う可能性があったが,論文作成に時間がかかり校閲の発注が年度内に終了しなかったため3万円弱の助成金差額が生じた。本差額は,最終年度に,研究成果の報告や成果をまとめた論文の英文校閲,関連する研究を行う海外研究者との研究打ち合わせに使用する計画である。
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次年度使用額の使用計画 |
本差額は,翌年度分として請求した助成金と合わせて,最終年度に,研究成果の報告や成果をまとめた論文の英文校閲,関連する研究を行う海外研究者との研究打ち合わせに使用する計画である。
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