ネパール西部開発地域中間山地帯(Middle Hills)の6か村において、ランダムにサンプルした122家計とその構成員477名に対するa) 家計調査、b) 健康指標(身長・体重・血圧)測定、c) メンタルヘルスに関する個人調査を実施した。目的は以下の4点である。第1は、2015年4月25日に発生したネパール大震災が、家計と個人、特に児童の健康・メンタルヘルス(PTSD)に与えた影響と測定することである。第2は、家計内の出稼ぎメンバーの存在が、大震災が家計と個人の健康状態に与えた負の影響を緩和させたか、緩和させた場合はどのような経路によってなのか(国内出稼ぎ者による避難先の提供、海外出稼ぎ者による資金援助)を検証することである。第3は、農村部貧困家計の自然災害への対応法を記録することである。最後に第4の目的は、インタビューに基づくメンタルヘルス調査と毛髪のストレスホルモン(コルチゾール)含有量分析結果が、どれほどの整合性を持つかの検証である、対象の122家計477名に関しては、大震災前の2014年に、一度ほぼ同種のデータを収集している。 平成28(2016)年3月にa)を、10月から12月にかけてb)と c)を並行して実施した。現地研究極力者に依頼していたデータ入力は、平成29(2017)年3月に終了した。2014年に調査した全122家計を再調査することができた。個人に関しては、新たに海外に出稼ぎに出た人、健康指標測定を拒絶する人もおり、477名中453名の再調査となった。
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