研究課題/領域番号 |
15K13016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小野 善康 大阪大学, 社会経済研究所, 特任教授(常勤) (70130763)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 長期不況 / 国際資本移動 / 国際企業移動 / 資産選好 / 流動性の罠 |
研究実績の概要 |
資産選好の飽和性がもたらす動学的長期不況モデルを2国2財の開放経済体系に拡張した。そこでは、自国が不況で外国が好況である場合を考えた。さらに、その枠組みを使って、各種のパラメーターの変化が自国および外国の雇用や消費、為替の交換レートなどに与える影響を分析した。具体的には、自国あるいは外国による各財への財政支出、生産性の向上、賃金調整速度の改善、資産選好の強さなどが変化した場合の効果を求めた。 その結果、不況国が生産性を上げると自国および好況の相手国の両方で、消費が低下することがわかった。さらに、不況国が財政支出を拡大すると、両国の消費が増えることも明らかになった。これらの結果は、従来の伝統的な枠組みである両国が好況である場合の結果とも、両国が不況である場合の結果とも異なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、資産選好を持つ家計を前提にした好況国と不況国からなるからなる2国経済を構築した。さらに、それを使って各種の経済政策や選好パラメーターおよび生産性パラメーターが変化する場合に、各国の景気に与える影響を分析することができた。 以上に示した当初計画に沿った分析に加え、新たに、自国と外国が国際企業の参入を促すために、法人税の引き下げ競争をする場合の分析の枠組みを構築した。今後、これを使って各国の経済厚生への影響を分析するための準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
自国と外国が法人税を使いながら、非貿易財を生産する国際企業の参入を促す場合の2国の政府間競争について分析する。より多くの企業が入ってくれば法人税収入も得られ、価格も下がって消費者余剰も拡大する。さらに、失業があれば、雇用の拡大も期待できる。そのためには法人税を引き下げなければならず、それは法人税収の減少につながる。本研究では、これらプラスとマイナスの効果を総合的に分析し、国際的な法人税引き下げ競争が各国の雇用や経済厚生に及ぼす影響について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
端数
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入に使用する。
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