研究課題/領域番号 |
15K13020
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齋藤 哲哉 日本大学, 経済学部, 准教授 (80707422)
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研究分担者 |
中村 靖彦 日本大学, 経済学部, 准教授 (90453977)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 暗号通貨 / FinTech / 為替市場 / 決済システム |
研究実績の概要 |
先ず概要であるが、平成28年度はこれまで研究してきた理論モデルの報告と改訂、一昨年度から行っている暗号通貨相場のデータ収集の継続的実施と、一昨年よりキプロス共和国のニコシア大学のDr. Soula Louccaと話し合っていた研究プロジェクトの立ち上げを行った。 理論モデルは2本の論文から構成されており、それを基に平成28年10月中旬に日本銀行主催で東京大学で行われたカンファレンスにて報告している。また、同様の研究は、平成28年11月に早稲田大学のセミナーで、平成29年1月にチリで開催されたWEAIの太平洋ミーティングに於いても報告を行った。これらの理論分析は、研究報告等で受けたコメント等を盛り込んで改訂し、平成29年度に専門誌に投稿する計画としている。 データ収集に関しては、現時点で約1.5年分のデータが収集されているが、その前段階で収集した3ヶ月分のデータを用いた実証分析を、平成28年9月初頭にキプロス共和国パフォスで開催された情報科学系の学会(MCIS 2016)で報告を行っているが、それぞれの通貨の時系列データが最低限必要と思われるサンプル数(800以上)に達するまでにもう1年程度かかる見込みである。 アテネ経済商科大学との連携を含めたニコシア大学とのプロジェクトは、平成29年度より本格的に指導する計画になっており、5月末にニューヨークで開催されるConcensus 2017への参加と、11月初頭にキプロスで開催される国際会議への出席が決まっている。また、平成29年度中に日本でカンファレンスを開催する方向で調整中である。このプロジェクトは技術系・経営系の研究者との共同で行われるもので、この中で経済学系の分析を担当することになる。また、ニコシア大学では大学のプロジェクトとして暗号通貨を推している状態であり、将来的には大きな進展が見込まれるプロジェクトである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では1年目に理論研究を行い、2年目に実証を含めた分析を進展させ、その中でカンファレンスを開催するというものであった。理論・実証研究は当初の計画通りに進んでいるが、本研究課題の予算を使った会議の開催はまだできていない。会議の開催という点では若干の遅れが見られるが、平成28年度内には平成29年度にニコシア大学・アテネ経済商科大学と協同でカンファレンスを開催する計画ができている。また、日本銀行のオーガナイズによるものであるが、平成28年度内に暗号通貨のカンファレンスに参加することもできた。 会議の開催は相手方の事情もあり、特に国際会議となるとその事情は年度を超えてしまうのは止むを得ない。これらを総合的に考え、3年間の研究期間全体での進捗状況を計ると、当初の研究計画の予想を超えて研究が進捗しているものと評価できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究機関の最終年度であるので、これまで進めてきた研究を出版しなければならない。この点に関して、近年の暗号通貨界の動きの早さを鑑み、Plos ONEを研究の最初のアウトレットとして考えている。ただし、Plos ONEは一般科学誌であるので、あまり専門的にテクニカルすぎる議論はできない。それらの議論は順を追って経済学の専門誌に投稿する予定である。 さらに、研究所年度から継続しているデータ収集に一区切りを打ち、時系列分析を行って論文を執筆する計画もしている。この実証分析は、昨年度に分析した結果を追認できるかどうかという方向で進めるつもりで入るが、ここ1年で暗号通貨の銘柄の順位が大きく変わったこともあり、若干の修正を迫られる見込みである。 これまでの研究成果の講評計画としては以上の通りであるが、もう一つの大きな計画としては、ニコシア大学・アテネ経済商科大学との共同プロジェクトの始動である。これには、平成28年度に実施すると計画書に書いていた会議の開催が含まれるが、当初の国内会議とは違い、国際会議として開催する計画である。それに加え、暗号通貨に関する共同研究を進める技術系・経営系の研究者との学際プロジェクトであるため、本研究課題が目標としてきた「暗号通貨の経済学」の基礎を構築する上で、経済学以外からの視点も加えることができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
会議の開催が今年度内に計画した通りにできなかったために生じました。(次年度にニコシア大学と共同で計画中)
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施できなかった会議をニコシア大学と共同で実施する際に使用したいと考えています。
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