研究実績の概要 |
本研究課題の主な目的は、自由貿易協定(Free Trade Agreement, FTA)特恵税率の利用に対して、為替相場が与える影響を理論と実証の両面から明らかにすることである。特に実証分析では、ASEAN韓国FTA(AKFTA)の製品レベルデータを用いている。当該テーマの関連論文は、本年度1月にRIETI Discussion Paperとして発表を行い、現在は国際学術誌の査読を受けている最中である(Hayakawa, Kim and Yoshimi, 2017)。また、FTA利用率がそもそもどういった要因によって決まるのかといった観点から様々な副次的な研究を進めており、これらについても本年度は一定の成果を得ることが出来た。一つ目は、複数関税スキームが存在する時のグラビティモデルを理論的に導出し、それを世界各国のデータを用いて推計するもので、本年度8月にIDE Discussion Paperとして発表した(Hayakawa and Yoshimi, 2016)。二つ目は、タイの税関データを用いて行った分析で、輸入企業の特性が特恵関税利用率に与える影響を見ている。当該テーマについては、本年度8月にIDE Discussion Paperとして発表した(Hayakawa, Laksanapanyakul and Yoshimi, 2016)。三つ目は、日本の輸入データを用いて複数の関税スキームが存在する時の、各関税スキーム利用率の決定要因分析を行ったもので、本年度1月にRIETI Discussion Paperとして発表した(Hayakawa, Urata and Yoshimi, 2017)。いずれの論文も既に国際学術誌への投稿を済ませ、査読を受けている最中である。
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