研究課題/領域番号 |
15K13022
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
森 悠子 流通経済大学, 経済学部, 准教授 (10748198)
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研究分担者 |
坂本 徳仁 東京理科大学, 理工学部教養, 講師 (00513095)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多次元貧困指標 / 健康等価所得 / 非厚生主義 / 潜在能力アプローチ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、①研究協力者である林貴志氏(グラスゴー大学)を日本に招聘し、共同研究のための打ち合わせを行う、②異なる福祉指標(多次元貧困指標、生活満足度で測った幸福度、健康等価所得)が実際にどのような傾向性をもつのか比較分析するために、インドでの質問紙調査を企画・実施する、③異なる文化圏で規範意識・判断にどのような差が生じるのか調査するための実験デザインの内容を検討する、④非厚生主義に基づいた福祉評価の一般的な理論を解明する、といった作業を実施した。 その結果、各作業について一定の前進があり、社会福祉指標の理論的性能や既存の指標における適正なパラメータの範囲を検証する分析を行う最終年度に向けて準備が整いつつある。平成28年度の成果としては、①インドでの調査結果に基づいて、現在、三つの福祉指標の比較分析を進めている(その成果は国際学会2017 International Society For Quality-Of-Life Studies Annual Conferenceで報告予定)、②非厚生主義に基づく福祉指標の理論的な可能性について、(a) 平等等価以外の異なる新しい基準を公理的に明らかにした(国際学会10th Bi-annual Conference on Economic Designで報告予定)、(b) そのようなクラスのもつ数学的性質がPareto基準にこだわるかぎり限定されたものになること、拡張されたPareto基準に変更すれば多くの可能性定理が得られること、の2点の解明、③インドと日本の大学での規範実験分析の準備を進めている、④潜在能力アプローチに基づく資源の分配方法の公理化の研究を論文にまとめる、といった4点が挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究計画は概ね当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、①昨年度の三つの福祉指標の分析結果をワーキング・ペーパーにまとめて公刊を目指す、②異なる文化圏で規範意識・判断にどのような差が生じるのか調査するために、日本とインドの大学での実験調査を行う、③福祉指標に関する理論的な研究成果を国際学会で発表した上で論文にまとめて査読誌での公刊を目指す、といった作業を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の支出が当初の支出計画を下回った理由として、第一に研究分担者が実施する予定だった実験の予定が平成29年度に変更になったため、平成28年度の支出が計画よりも少なくなったこと、第二に研究代表者がインドで行った質問紙調査に予定したほど経費がかからなかったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者が平成28年度に実施する予定だった実験を平成29年度に実施する。
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