研究課題/領域番号 |
15K13026
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 尚史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60262086)
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研究分担者 |
深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30173305)
中林 真幸 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60302676)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 超長期経済成長推計 / 日本経済の歴史 / 国内総生産 / 農業と土地収益権取引 / 金融仲介と金融市場 / 労働と人口 / 交易と交通 / 鉱工業生産 |
研究実績の概要 |
本研究は、11世紀から21世紀にいたる長期的な経済発展の歴史を、現代経済学を参照しつつ、統一的に捉え直し、過去、現在、そして未来の日本における開発と持続可能な経済発展との調和を考えることを目的としている。この目的を達成するため、本年度は①中世から現代にいたる超長期の経済成長推計を行う、②中世、近世、近代、現代といった時代ごとに、農業と土地用益権取引、金融仲介と金融市場、労働と人口、交易と交通、鉱工業生産といった各分野の経済活動を、現代経済学の知見を導入しつつ再検討し、日本経済の長い歴史を包括的に理解する、という2つの方向から研究をすすめた。 まず①については、史料上の制約から国内総生産(GDP)推計が難しい中世と近世について、重点的に検討をすすめ、中世については山城国乙訓郡上久世荘の事例などから土地生産性を推計し、近世については熊本藩の「諸御郡総産物調帳」(1842年)などを用いて非農業生産高の分析を行った。 また②については2015年度を通して、時代ごとの研究報告を行う月例研究会を計7回、主として分野ごとに時系列の分析・意見交換を行う合宿研究会議を2回実施し、濃密な議論を積み重ねてきた。その結果、鎌倉時代から2000年代に至る、超長期の日本経済のあゆみを、統一的な視点で概観することが可能になった。とくに経済成長推計をもちいて、それぞれの時代の、マクロ経済的な歴史像を構築し、それを共有できたことは貴重な成果であった。 本年度に実施した研究会の成果をふまえて、本研究は現在、原稿執筆の段階に入っている。次年度は提出された原稿をふまえて、もう一度、研究視角のすり合わせを行い、最終的な成果の取りまとめを行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、今年度、当初の計画通り、数多くの月例研究会と合宿研究会議を実施した。 月例研究会…第1回4月17日(於東京大学社会科学研究所、以下同じ)、第2回5月22日、第3回6月26日、第4回7月17日、第5回10月23日、第6回11月20日、第7回12月18日(出席者数、各回とも10名前後)。 合宿研究会議…夏季8月10-11日 (於一橋大学佐野書院、参加者数37名)、春季3月7-8日 (於一橋大学佐野書院、参加者数41名)。 このように数多くの研究会・研究会議(コンファランス)を開催することで、中世から現代に至る超長期的な時代や、農業、金融、労働、交易、鉱工業といった産業分野を通貫した濃密な議論を行い、問題意識を共有することができた。
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今後の研究の推進方策 |
①成果本の執筆 最終年度である今年度は、鋭意、原稿の執筆をすすめ、年内に全ての原稿が揃うことを目指す。その上で来年度に、最終成果報告である『日本経済の歴史』全6巻を刊行したい。なおその過程で、随時、追加の月例研究会を開催し、研究内容の調整を行う予定である(国内旅費、会議費、研究補助費等が必要)。
②研究成果の国際的な発信 日本語による成果本の編集に並行して、国際学会等での研究報告を通して、研究成果の国際的な発信にもつとめていきたい(海外旅費・英文校閲費等が必要)。
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次年度使用額が生じた理由 |
招聘を予定していた著名な研究者が、研究会に不参加であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究内容の調整を行うための研究会を開催する。 2016年8月にベルゲン(ノルウェー)で開催される世界経営史会議(1st World Congress of Business History)に中村が参加し、研究成果を報告する(報告決定済み)。
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