研究課題/領域番号 |
15K13027
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
阿部 武司 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10151101)
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研究分担者 |
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 華族 / 旧大名 / 有価証券投資 / 津軽承昭 / 池田章政 / 明治期 / 近代産業 |
研究実績の概要 |
平成27年度には平成26年度に引き続き、研究参加者各自が分担する作業の進捗状況の確認と情報交換を行うため、3か月に1度のペースで、主に国士舘大学の阿部武司研究室で研究会を開催した。具体的には参加者全員が、華族を中心とした明治期の主要企業株主や資産家に関するデータの整理を分担し、作業を進め、また青森や岡山に出張して集めた情報を蓄積していった。 個別の成果では、数百社に及ぶ個別企業の株主中、華族に特定したデータの収集と分析、青森県弘前における旧藩主津軽家についての調査は昨年度同様に順調に進め、昨年度まで検討できなかった岡山県岡山市における旧藩主池田家についての調査の開始ができた。 研究報告としては、平成27年度夏に京都で開催された第17回世界経済史会議(World Economic History Congress)で発表した明治期の華族の経済活動に関する連名の英文論文を発展させて、平成28年8月25-27日にノルウェー王国ベルゲン市のホテルScandic Orenで開催された第一回世界経営史会議(World Congress of Business History)で“Session F02: A Cross-border Elite: Nobility and Business “にて、連名論文”From Feudal Lord to Noblemen: investments by the former daimyo in Meiji Japan”を報告した。続いて8月29日、イタリア共和国ミラノ市のミラノ大学で開催されたワークショップ、”Nobility and Economy in the XIXth Century: Asian and European”で上記と同じ論文を報告した。それを通じて、若い参加者2人の国際交流の力量が大いに高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27~28年度に進めてきた英語による研究成果の発信は、国際会議の同一セッションでの交流を通じて形成された国際共同研究に発展し、各報告者の完成論文を、セッションに集まったメンバーの総意として、Business History Reviewなど欧米の学会誌の特集号に掲載するという方向性が昨年度末にできあがった。そのため、執筆者各自は、それぞれの論文作成を責任をもって進めることになった。我々は、昨年度中の完成原稿の作成を目指したものの、少々遅れ気味であるものの、間もなく完成させる。 平成29年8月には、これまで検討を進めてきた明治期に引き続き、大正・昭和期における華族のビジネスの変容と衰退に関する、連名英語論文'Industrial Development and Decline of Traditional Noblemen in Interwar Japan'がオーストリア共和国ウイーンで開催される第21回ヨーロッパ経営史学会受理され、報告することになったので、その原稿作成に鋭意努力する。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は最終年度にあたるので、与えられた予算を当初目的に沿って、有効に使わせていただく。 具体的には、平成27年度から進めている日本国内における華族を中心とした明治期の主要企業の株主や旧大名の津軽家・池田家に関するデータの整理をこれまでと同様に進める。 当面は海外の共同研究者たちと連携を取って、すでに触れた英語論文を早急に完成させる。続いて大正・昭和期にまで及ぶ英語報告論文の作成とそれのヨーロッパ経営史学会での発表に力を注ぐ この間、日本語による成果の発表ができなかったが、それに関する成果はディスカッション・ペーパーのような形に取りまとめておくことも考慮している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたほど実際の経費(人件費・謝金)がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額に関して、使用計画は国際会議への参加、資料収集調査に充てる。
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