研究課題/領域番号 |
15K13027
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
阿部 武司 国士舘大学, 政経学部, 教授 (10151101)
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研究分担者 |
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 華族 / 旧大名 / 有価証券投資 / 津軽継昭 / 明治期 / 近代産業 |
研究実績の概要 |
最終年度には(1)過去2年間に研究代表者(阿部)、研究分担者(結城)、研究協力者(白井)の3名が2度の国際会議を通じて作成してきた明治期の旧大名層の経済活動に関する英文論文を完成させ、東北大学経済学研究科のホームページにデイスカッションペーパーとして公開した。また、(2)上記3人が新たに作成した華族の没落に関する英文論文をヨーロッパ経営史学会年次大会で結城が代表して発表した。さらに、(3)阿部が国際共同研究を行っているミラノ大学のコンカ教授の招きに応じて、教授が今後のテーマとして設定した「食の経営史」に関する国際会議に出席し、1つのセッションの座長を務めた。なお、(4)同じく今後の国際共同研究の準備のために、ヨーロッパ諸国の貴族に関する経済史・経営史的研究書を10数点、阿部研究室が購入した。 過去3年度を通じて上記3名が、(1)以前にはほとんど土地勘がなかった日本の華族に関する研究の最先端にたどり着くことができ、さらに(2)国際会議での発表を通じて、日本の研究状況をイタリア、ポルトガル、タイの各研究者に伝えることができた。加えて(3)日本の研究者が気づいていない華族の特徴、すなわち①ヨーロッパの貴族が何よりも大土地所有者であるのに、日本の華族の大部分が土地への投資に消極的であったこと、②日本の華族において自明として扱われてきた、活発な有価証券投資がヨーロッパの貴族にあっては容易に見出し難いことがわかってきた。 最初に述べた英語論文を英国の一流学術誌Business Historyに投稿し、それへの掲載を実現することが目下当面する課題であるが、今後は最終年度に口頭報告した華族の没落、さらに貴族の日欧比較に関する、いずれも英語論文を完成する所存である。3年前交付申請書に記載した「研究の目的」、「研究実施計画」に照らしても恥ずかしくない成果が達成されたと自負している。
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備考 |
2018年3月8~9日にイタリア共和国ミラノ大学でSilvia Conca Messina教授を組織者とするコンファレンス'The Struggle for Food: From Malthusian Tension to GMO, and beyond (19th-21th centuries)'に阿部が参加し、9日のセッションの司会を務めた。
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