本課題は、国際標準化により企業間で技術の移転・共有が進むなかで、いかに企業が独自の専有性の高い知識を構築し、優位を築くことができるのかを検討した。標準の技術規格書や、それに関連して企業の権利を守るはずの標準必須特許は、公開され広く活用される。だが、複数の技術を統合して実装やイノベーションに結びつけるシステム知識は、そうではない。システム知識は、企業別に規格書と必須特許との関係からなる知識のネットワークとしてとらえられる。この観点から、本課題では、多くの引用を集めて技術の実装や進歩に影響を与えている企業は、自社技術を公開しながらも、独自のシステム知識を自己強化的に構築していることを明らかにした。
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