本研究では,人事管理を構成する諸要素が補完的な関係を取りながらニーズを満たす姿を具体的に描出した。さらには,それが可能になる背景にある,「人事システム」についての当事者間での解釈や利害の調整のメカニズムについて探索した。 定性的研究によると,従業員が人事管理に納得できるようにするため,人事システムの実際の能作についての合意形成が組織全体で事後的に進められる。複雑な人事システムは,従業員により簡略化して理解される。 定量的研究によると,合意形成の焦点となるのは,人事管理について要素間の関係性という包括的観点から把握することのみならず,人事管理と組織内外の様々な要素の間の関係にも目を配ることである。
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