• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

震災復興のためのCRM(コーズ・リレーテッド・マーケティング)モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K13035
研究機関神戸大学

研究代表者

馬場 新一  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (50722641)

研究分担者 國部 克彦  神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードCRM / 寄付金つき商品販売 / 倫理的消費 / 商標登録
研究実績の概要

コーズ・リレイテッド・マーケティング(以下CRMと記す)に関する消費者の行動を調べた。
1)熊本地震発災後1ヶ月目と3か月目に,学生および一般社会人を対象にCRMに関するアンケート調査を実施した。CRMに関する項目は,①自分で使う商品であれば購入したいとの回答は,1か月後61%,3か月後62%②すぐに使わない商品でもこの機会に購入するとの回答は,1か月後8%,3か月後12%であった。
2)熊本地震で被害率が高かった西原村を支援対象として,CRMの小規模実証実験を実施した。2-1 日常使う商品ということで,菓子と飲料を大学生協で販売し売上実績を見る事と,来店客を対象にアンケート調査を実施した。販売は,神戸大学生活協同組合,兵庫県立大学生活協同組合の全店舗13店で,菓子と飲料で1個・本に1円の寄付つき商品を販売した。2-2 非日常商品としてソックスを選び,タビオに協力を依頼し,くまモンのデザインが付いた復興支援寄付金(売上×10%)つきソックスを実店舗とネットショップで販売した。販売終了後に.購入者を対象にネットによるアンケートを実施した。地震の支援だけを理由に購入した人は15%であった。また,CRMの特徴である繰り返して寄付つき商品を販売する事は,アンケートの回答では受容されると推測できる結果となった。
3)CRMのマークを作成。商標登録を進めている。複数の商品を販売する場合に,売場が離れるため目立ちが悪くなる。アンケート結果でも,気付かなかったという回答が多かったため,店頭での目立ちとCRMに関連する商品が分かりやすくなるように,統一のマークが必要と結論付けた。
4)倫理的消費(社会に役立つ消費)の1つに「寄付つき商品」も位置付けられている。兵庫県主催の「消費者・事業者・行政によるワークショップ~ともに実践する消費者市民社会~」で,CRMの取組みと倫理的消費との関連を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目の計画に基づき,計画案を実行した。アクションリサーチについては,日用品と非日用品の両分野で実証実験をしてアンケートまで実施した。日用品は,菓子と飲料と言う異なる売場の商品分野で販売実験ができた。ただ,プロモーションについては,参加企業からの支援を受ける事ができず,日用品の実証実験では,研究費で店頭POPやポスターを制作した。
CRMの対象として,多くの商品分野で販売をすることを想定すると,異なった商品分野では売場も離れるため,複数商品で売場を展開しても,連動性が弱いと個別でしかインパクトを与えられないことが分かった。売り場が連動する統一したイメージの作成が必要であるため,CRMの統一マークとして,「買うと募金」というイメージが伝わりやすいマーク「KAOBO」をデザイン化し、商標登録申請を行った。現在審査中である。
報告会は、兵庫県が主催した消費者・事業者・行政が参加するワークショップで実施した。CRMの取組みと倫理的消費との関連について報告した。実証実験で集まった支援金1,095,543円は、熊本県西原村のボランティア活動を支援するために寄付した。

今後の研究の推進方策

CRMの本格展開を検討していくが,申請時に想定した規模は予算的に難しくなっているため,縮小した形で確認のための実証実験を実施する。
①実証実験の実施:再度大学生協でCRMを実施して,2度目の実施による効果を測定する。地域を広げて一般消費者を対象とした日用品で実験をするには,予算の裏付けがないため、協力者を探して実施する方向で検討する。 ②寄付金の額・率の適正値:CRM実施企業の意見聴取と消費者アンケートで寄付つき商品の1個当たりの額や率設定の範囲を明らかにする。 ③参加企業の選別基準:消費者として許容される商品分野,不祥事を起こした企業のイメージなどをもとに調査して,消費者がCRMに賛同する範囲を明らかにする。④追加研究:起案時に入れていなかった倫理的消費との関連性を研究する。倫理的消費が浸透することで、寄付つき商品の購入が促進されるのかを調査する。⑤研究成果のまとめ:シンポジウムや学会の場で発表できる内容にまとめる。

次年度使用額が生じた理由

商標登録にかかる費用を計上していたが,出願中に異議申し出があり,修正して再度出願することになった。登録された時点での支払いとなるため、支払時期が延期となったことで差異が生じた。

次年度使用額の使用計画

現在,商標の登録出願中である。登録時期の見込みとしては9月頃であり,登録後の支払いとなる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 熊本地震避難所運営に関する課題と対応2017

    • 著者名/発表者名
      馬場新一・三矢裕・國部克彦
    • 雑誌名

      神戸大学大学院経営学研究科ディスカッションペーパー

      巻: 2017.10 ページ: ー

  • [雑誌論文] 寄付つき商品購入者の意識調査2017

    • 著者名/発表者名
      馬場新一・國部克彦
    • 雑誌名

      神戸大学大学院経営学研究科ディスカッションペーパー

      巻: 2017.11 ページ: -

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi