リアルオプション・アプローチを用いたプロスポーツチームの価値評価手法の開発

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K13039
• 研究機関: 大妻女子大学
• 研究代表者: 寺石 雅英 大妻女子大学, キャリア教育センター, 教授 (20217409)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 価値評価 / プロスポーツチーム / リアルオプション

研究実績の概要

本研究の目的は、不確実性や不連続性が著しく大きい事業環境下での価値評価を得意とするリアルオプション・アプローチを用いることによって、現実適用性の高い「プロスポーツチームの価値評価手法」を開発することである。研究プロセスは、大きく３つのフェーズに区分することができ、平成27年度はそのうち第１フェーズにあたる、プロスポーツチームの収益・コスト構造や契約体系を調査・分析することにより、リアルオプションを抽出するフェーズである。具体的には以下のような研究を実施した。
（１）わが国のプロスポーツチームを対象とした聞き取り調査や資料調査により、チームの収益・コスト構造、契約体系、リーグや各種大会の運営システム、制度的制約等に関する詳細な調査を実施した。
（２）聞き取り調査を補完するため、海外のプロスポーツチームや各国のリーグに関する文献資料を収集し、上記内容に関する調査を実施した。
（３）上記のの調査結果をもとに、チームのキャッシュフローを、選手・スタッフの実力や人気との関連性が強い部分とそうでない部分を切り分け、前者に関しては、選手・スタッフの実力レベルや人気レベルとの間の関数関係を導出した。一方後者に関しては、どのような要素との関連で収入や支出が発生するのかに関する分析を行った。
（４）選手・スタッフに付随するオプション、チーム全体に関連するオプションをもれなく抽出するとともに、オプション間の相互関連性に関しても分析した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第1フェーズとして計画した研究項目をほぼ順調に実施し、平成28年度からは第2フェーズに移行することが可能になったため。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、今後は「抽出されたリアルオプションの価値評価とチーム全体の価値評価手法の構築」を目指す第2フェーズの研究に着手する。価値評価手法の構築にあたっては、追加的な調査を実施する必要が生じる可能性もあり、その場合は予想外の遅延に発展してしまうリスクをはらんでいるため、スケジュールを前倒し気味にして研究を遂行する予定である。

次年度使用額が生じた理由

物品費については、当初の予定よりも若干安く購入できたため。
人件費・謝金については、当初予定した業務が２日間程度短縮できたため。

次年度使用額の使用計画

次年度は、研究補助者に支払う人件費がやや不足気味のため、人件費・謝金に繰り入れる予定である。