研究課題/領域番号 |
15K13040
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高井 透 日本大学, 商学部, 教授 (60255247)
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研究分担者 |
寺本 義也 ハリウッド大学院大学, ハリウッド大学院大学(ビューティビジネス研究科), 教授(移行) (30062178)
内田 亨 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (50453460)
Benton Caroline 筑波大学, ビジネスサイエンス系(副学長), 副学長 (50520897)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水産養殖 / イノベーション / 戦略 / 親会社 / 子会社 / グループ経営 / シナジー / 研究開発 |
研究実績の概要 |
最終年度はグループシナジーという視点から水産養殖事業のイノベーションの解明に取り組んだ。水産養殖の場合、餌の開発、海上での飼育、加工流通など、川上かから川下までのイノベーションが連鎖することで新製品開発につながってくる。日本水産のグルーブ企業である黒瀬水産の若ぶり開発開発では、グループ経営の資産をフルに活用されている。養殖事業の成功の鍵になる餌の開発では、日本水産の研究所が持っている資源が活用されているし、その養殖魚の販売においても日本水産のネットワークが活用されている。しかし、現場の魚の飼育方法については、独特の暗黙知が必要であり、また、水揚げから加工まで鮮度を保ちながら魚を処理していくプロセスでは現場を担当している黒瀬水産のマネジメントが有効に機能していた。つまり、親会社とグループ企業の資源が相互にリンクすることでイノベーションが生み出されていた。 しかし、そうすると養殖事業の川上から川下まで押さえ、多様な事業を展開しているグループ企業を持つ日本水産のような垂直統合型の企業が、グループシナジーを通じてイノベーションを創造し、持続的競争優位性を生み出すのかというと、必ずしもそうではない。事実、地方では、ガボスなど独特の餌を与えることで、特定の地域では圧倒的な優位性を握っている地元の養殖企業もあるからにである。また、養殖事業の場合、魚病、天候不良、餌の原料になる魚粉相場の高騰など、さまざまなリスクが生産プロセスなかで発生する。そのため、シナジーを創り出すために、どの程度の垂直統合の度合いを高めるかという課題と、他の養殖魚でのグループイノベーションの比較も興味ある課題として残っている。というのも物の製造製品と異なり、水産業の場合、魚種の種類によってマネジメントが大きく異なるからである。
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