本研究の目的は、予測困難かつ変動の激しい今日の企業社会における組織人の「新たなキャリア意識」の特定化と、その実情を踏まえた職場及び組織におけるキャリア形成支援を組み込んだ競争力の高い人材マネジメント施策の探求にある。具体的には、①萌芽する「新たなキャリア意識」の特徴の析出ならびに明確化、②「新たなキャリア意識」に適合した職場内(上司/同僚)・職場外(社内の部門を超えたメンター/社外メンター)環境の特徴の析出・明確化、及び③自律的なキャリア形成の「機会」創出と「能力」向上を組み込んだ人材マネジメント施策の創造・提起の3点を行う。最終年度にあたる平成29年度は、主に以下の活動を行った。 ①定量メインサーベイの実施(前年度から継続):前年度に引き続き、多様化するキャリア意識に関する質問紙形式の定量調査を行ない、大規模サンプルのデータ収集を完了させた。 ②定量データの解析と検証:研究当初に設定した仮説的なフレームワークをもとに、データ分析と仮説の検証を行った。特に人材マネジメント施策などの組織的要因と個人のキャリア意識との関係、及び加齢やキャリア・ステージ上の発達に伴う、両者の関係の変化等について解析が進められた。 ③成果の実務的還元: 成果を調査協力企業にフィードバックすると同時に、実務家向けの雑誌媒体への発信も積極的に行った。 ④成果の学術的貢献:国内外の主要学会での発表と海外主要ジャーナルへの投稿等を行った。具体的には、経営学領域における国際的な権威である米国・国際経営学会(AIB)をはじめ、複数の主要学会で研究報告を行った。2018年1月には、社会科学・学際領域及び経営学領域のトップジャーナルである"Human Relations"誌(SSCI学際領域96誌中第2位、英国Financial Times選定経済・経営系トップ50誌)に原著論文として成果の一部が掲載された。
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