研究課題/領域番号 |
15K13043
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研究機関 | 鈴鹿大学 |
研究代表者 |
村瀬 慶紀 鈴鹿大学, 国際人間科学部, 講師 (70624386)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 労働集約性 / サービス / 暗黙知 / 知識移転 / 組織社会化 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、第一にサービス産業の海外進出の競争優位の源泉は「暗黙知の知識移転にあるのではないか」という問題意識から先行研究を整理し、研究のフレームワークを構築し、結論としていくつかの仮説を提示した。 本研究のフレームワークとしては、知識提供者である本社(情報の送り手)からゲートキーパーもしくはトランスフォーマー(現地国の幹部社員等)を通じて、現地国の組織内で現地従業員、特に最前線の従業員(front-line employees)が知覚する(1)人事制度に対する「満足度」、(2)本社の強い権限によるリーダーシップ、(3)個人の自発的学習意欲、(4)組織内ダイアド間における信頼関係が知識移転の促進要因に何らか影響を及ぼすのではないかという仮説を提示した。そしてその研究成果は「サービス産業における国境を越えた知識移転と利活用」『鈴鹿大学CAMPANA』(No.23、2016)にて公表した。 第二に先行研究の成果及びそこで示された仮説を実証するために、海外進出先国の経営者もしくは管理者にインタビューを含めた現地調査を実施した。 調査の目的は現地国で地場産業を含めた競合他社に対してどのような経営戦略を策定し、競争優位を獲得しているのかについて明らかし、上述した仮説を立証することであった。 本研究の調査対象は主に労働集約型のサービス産業(対人接客を伴うサービス業)ということでベトナムの日系ホテル、小売業、(日本人経営者)カフェ、そして現地の経営環境全般を把握するためにJETRO(日本貿易振興機構)を訪問した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、先行研究のサーベイに時間を要してしまい、調査や研究成果の発表が遅れてしまったが、本年度は先行研究の成果公表(学内紀要に掲載)及び海外での現地調査を行うことができた。来年度は最終年度ということで、仮設の立証、ボーングローバル企業に与える示唆、グローバルイノベーションとの関係から検証を行い、研究成果の最終公表(学会誌等への掲載)に向けて取り組んでいくことにする。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題は、ホテル、レストラン、美容・健康関連の企業を対象に、現地従業員に対する量的な実態調査を行っていくことが挙げられる。特に本研究の将来性としては、暗黙知の知識移転の促進と現地従業員よる革新的な行動の関係性についても解明する必要がある。研究調書にも記されているとおり、暗黙知の知識移転はサービス産業の海外進出において重要であり、関連する研究成果も出ていることから、特に本年度、先行研究のサーベイによって示された仮説を実証することを第一の目的とし、ボーングローバル企業に与える示唆を導出する活動を行っていくことにする。
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