研究課題/領域番号 |
15K13047
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
宇田川 元一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (70409481)
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研究分担者 |
黒澤 壮史 神戸学院大学, 経営学部, 准教授 (10548845)
佐々木 将人 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (60515063)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナラティヴ・アプローチ / イノベーション / アクター・ネットワーク・セオリー / 社会構成主義 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、主に企業・病院組織への調査と文献研究を実施した。 文献研究は、ナラティヴ・アプローチと周辺を取り巻く理論的観点について研究の整理を行った。これについては、後に記載の研究成果に反映されている。 調査研究については、企業における戦略的なイノベーションの生成プロセスについての事例と、病院組織におけるソーシャル・インクルージョンの実践、情報セキュリティ分野におけるイノベーションの生成プロセスについての調査研究を実施し、現在も進行中である。これらについては、7月に開催されるSCOS2016(Standing conference on Organizational Symbolism)にて2つの報告が採択決定している。 研究成果は、宇田川は論文執筆と学会報告、及び、黒澤が学会部会報告を実施している。論文については『組織科学』に論文「生成する組織の研究ー流転・連鎖・媒介する組織パースペクティヴの可能性ー」を執筆し、12月に刊行された。とりわけ、媒介と翻訳のプロセスとしてイノベーションのプロセスを捉える点についての理論的整理が行われ、今後、同理論的な観点に基づいて研究が遂行される。また、2015年9月には経営哲学学会全国大会の統一論題にて「流転する世界を捉え、変える―ナラティヴ・アプローチの可能性―」を報告し、11月には経営情報学会秋季大会にて「語りが組織を生成する―ナラティヴ・アプローチとしての組織ディスコース―」の報告を実施した。2016年3月に開催された組織学会九州支部会にて「生成する組織の研究」の報告を実施した。黒澤は、6月に「効果的なイシューセリング行動における言説の役割」を日本経営学会関西部会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究、文献研究ともに順調に推移し、両者について国内外の学会での報告や学会誌での研究報告が実施できており、おおむね研究は順調に推移している。 文献研究によって、昨年の研究成果によって、かなり本研究課題の方向性が明確化したことが挙げられる。調査データを分析する際の視点が明確化されたため、今後は調査の成果の提示においても有用であろうと考えられる。 病院組織の事例と情報セキュリティ分野の事例については、それぞれSCOS2016での報告が採択され、これらについては、同学会誌への投稿や国内学会誌への投稿を視野に現在も研究が続けられている。前者については、今後も継続して調査を実施するとともに、ソーシャル・インクルージョンの研究分野とも今後連携して研究を推進する方向性が見えつつある。後者の情報セキュリティ分野に関しては、今後も継続した調査が可能である。これに加えて、企業におけるイノベーション・プロセスについても調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、とりわけSCOS2016での報告内容をベースにした論文の執筆にとりかかると同時に、翻訳プロジェクトと文献研究を継続して実施する。 調査研究は、昨年度の調査研究(病院組織におけるソーシャル・インクルージョンによるイノベーション、及び、情報セキュリティ分野における協働的活動の生成過程)継続するのに加え、企業におけるイノベーションの事例についての調査も行いたいと考えている。 文献研究については、主に欧州の組織論研究におけるナラティヴ・アプローチにフォーカスして研究を推進する。欧州の組織論研究におけるナラティヴ・アプローチでは、制度との関係の中で議論されているものが多く、これらもまた有用な視点であろう。これらについても、本年度にまた新たな研究成果を学会報告や論文の形で公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の調達の際に、想定よりも低廉に調達することが可能であったことと、代表者の大学規定の改訂のため、旅費支出額が一部減額されたことにより余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の研究予算の中で、海外出張が予定されていることに加え、より詳細な調査研究を実施する必要性が生じてきているため、予算を平成28年度に使用する予定である。
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