研究課題/領域番号 |
15K13049
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研究機関 | 独立行政法人国際協力機構(研究所) |
研究代表者 |
下田 恭美 独立行政法人国際協力機構(研究所), 研究所, 研究員 (30746483)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インクルーシブ / ビジネス / 持続的開発 / 貧困削減 / 文化 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
2016年度は、昨年度収集したデータの分析を行いつつ、国内外の関係者への聞取り調査を継続し定性データを収集した。2016年5月30日~7月2日にキルギスで第3回目の現地調査を実施し、個別インタビュー(男性21人、女性23人)を行った。不足していた男性へのインタビューを増やせたことで、男女比というだけでなく、現地コミュニティーとしての経験や見方に関するデータのバランスが良くなったと感じている。インタビューでは、JICAプロジェクトおよびA社の取組みに精通した通訳兼アシスタントの支援が得られたことで、非常に質の良いデータを収集することができた。現地調査中、生産管理を行うA社の2回の出張にも同行し、1回目で明らかになった課題に対し、2回目の監査時にどう対応して生産管理体制を向上させた(させる予定)かなど、生産過程における向上を直接観察できたことは有益であった。収集したデータは昨年度分と合わせて、NVivoのコーディング機能を使いつつ分析を進めているところである。 2017年2月に予定をしていたラオスの現地調査については、現地カウンターパートの業務上の都合により2017年度4月に延期せざるを得なくなった。現地調査によるデータ収集はできなかったが、文献レビューおよび関連ウェブサイトからの情報収集を行いながら、A社の社員とのコミュニケーションを通じて現地の状況のアップデートを行った。 先行してデータ分析を進めていたキルギスの事例については、幾つかの学会で中間成果を発表するなど、積極的に対外発信に努めた。また、A社社員、或いは所属先であるJICA職員を対象としたセミナー等で成果の一部を発表する機会があり、多少なりともビジネスおよび開発の現場へのフィードバックができたと感じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2017年2月に予定していたラオスでの現地調査が、現地カウンターパートの業務上の都合により2017年度に延期せざるを得なくなったことが大きく影響している。そのため、承認を受けた上で、当初2年間であった当該研究の実施期間を2017年度まで1年延長することとなった。また、キルギスで収集したインタビューデータのテープ起こし、および現地語から英語への翻訳に時間を要したことも研究の遅れの一因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
全体のスケジュールが遅れてはいるものの、当初計画していたキルギスでの調査は完了している。ラオスの現地調査も2017年度の実施に問題はなく、データ収集については間もなく完了する。学会等で中間報告等を行ったキルギスの事例については、データの翻訳も終わっており、分析をしながら本年度秋頃までには論文のドラフトを完了させたいと考えている。ラオスの事例については、学会等での中間発表も視野にいれつつ、データ収集および翻訳をしたいと思っている。課題となっているのが、A社社員への聞取りであるが、業務で多忙を極めている相手ということもありスケジュール調整が難しく、代替としてメールでやりとりするなどの対応を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラオスでの現地調査が現地カウンターパートの業務上の都合により2017年度に延期になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ラオス現地調査に係る旅費等、および書籍購入に使用する予定である。
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