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2015 年度 実施状況報告書

デスティネーション・マーケティングの「実践」過程に関する研究:関係性概念を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 15K13050
研究機関山口大学

研究代表者

藤田 健  山口大学, 経済学部, 准教授 (50311816)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードデスティネーション・マーケティング / 関係性
研究実績の概要

本年度は、目的地マーケティングで利用する「関係性」概念を中心に、(1)目的地マーケティングの文献サーベイと、(2)既存事例研究に対する追跡調査を実施した。
(1)文献サーベイについては、関係性をとらえる基本概念として、構造的概念としてのネットワーク、関係の状態をとらえる協力・協働・コンフリクトといった概念に焦点を当て、概念の定義・構成概念・概念間関係等を把握した。そのうえで、目的地マーケティングの実践において、主要概念がどのように関連するかの整理を試みることで、仮設的な分析枠組みを構築した。
(2)既存事例研究は、既存事例をもとにした追跡調査を行った。既存研究では、目的地マーケティングを成功させたリーダーやプランナーに焦点をあて、その行動(意思決定)や考え方をとらえて実践過程を記述することに注力することが多かった。こうした事例をもとに地域の目的地マーケティングのリーダーやプランナーに追跡調査(デプス・インタビュー)を実施し、地域の関係性が目的地マーケティングの実践過程において、どのような影響を及ぼしているかを分析した。
以上のような2つの基礎的研究を実施することで、目的地マーケティングの実践過程の仮設的分析枠組みと、その過程における関係性概念の影響を把握した。その研究過程で得られた基礎理論と追跡事例をもとに原稿1編を公表した。本年度は基礎的な関係性概念を中心に目的地マーケティングの実践過程を捉えたにすぎない。そのため、今後の研究ではさらに事例分析を進め、より精緻な分析枠組みの構築に努めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究によって、文献調査と既存事例の追跡調査をもとに、仮設的な分析枠組みが構築できた。この分析枠組みが、今後の複数事例分析を進めるうえで基本的な視座となるため、おおむね研究目標を達成できたと考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究課題は、DMO(Destination Marketing Organizationの略、主に観光協会を指す)におけるマーケティングの実践を調査するなかで、DMOを取り巻く地域の「関係性」を具体的に把握する。その際、研究計画初年度に構築した仮設的な分析枠組みを活用しながら複数事例を調査し、目的地マーケティングの実践過程における関係性概念の変数間関係や成果変数との関係をより詳細に分析し、分析枠組みのブラッシュアップおよび精緻化に取り組む。
当初の研究計画はDMOがかかわる地域のソフト事業・ハード事業(いずれもサービス提供)にのみ目を向けていたが、近年では、特産品や地域の商品(商品提供)も含めた目的地マーケティングも盛んになっている。そのため平成28年度からは6次産業や商品生産者といった商品提供に関わる事業者を含めた現実的な地域の関係性を捉えるよう、インタビューの対象者を広げる。そのうえで、DMOと地域の多様な各種組織との関係性の理解を踏まえながら、分析枠組みの精緻化しつつ、目的地マーケティングの実践過程における関係性の意義を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

科研交付決定後に別の事業費に申請し、獲得することができた。新たな事業費を用いて調査を進めることができたため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度は余裕のある資金を用いて、地域の多様な関係性を調査すべく、インタビュー調査の対象を広げる。得られた情報を文書データにおこし、データベースを作成する。こうして、より濃密に目的地マーケティングの実践過程を把握し、分析枠組みの精緻化に努める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 1からの観光事業論2016

    • 著者名/発表者名
      高橋一夫・柏木千春(編著)、藤田健、室岡祐司、田中祥司、小里貴宏、松本博樹、稲田賢次、国枝よしみ、上田恵美子、大和里美、金振晩、梅村仁、渡邉公章、辻本千春
    • 総ページ数
      270(56-71)
    • 出版者
      中央経済社

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公開日: 2017-01-06  

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